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チョウザメ管理法



チョウザメの種類

チョウザメの分布・生態

飼育・管理

種類と飼育難易度



 チョウザメの種類:北半球に限局分布するチョウザメは、現在以下の種が確認されています。
Family Acipenceridaeチョウザメ科
@Acipenser baeri
  Acipencer baeri baeri(シベリアチョウザメ)
  Acipenser baeri baicalensis(バイカルチョウザメ)
  Acipenser baeri stenorrhynchus(レナチョウザメ)
AAcipenser brevirostrum(Shortnose Sturgeon)
BAcipenser dabryanus(ダブリーチョウザメ)
CAcipenser fulvescens(Lake Sturgeon、パンダチョウザメ)
DAcipenser gueldenstaedti(ロシアチョウザメ)
EAcipenser medirostris(チョウザメ、ミドリチョウザメ)
FAcipenser mikadoi(サハリンチョウザメ)
GAcipenser naccarii(アドリアチョウザメ)
HAcipenser nudiventris(Ship Sturgeon)
IAcipenser oxyrinchus
  Acipenser oxyrinchus desotol(Gulf Sturgeon)
  Acipenser oxyrinchus oxyrinchus(大西洋チョウザメ)
JAcipenser persicus(ペルシャチョウザメ)
KAcipenser ruthenus(カワリチョウザメ、コチョウザメ、Sterlet)
LAcipenser schrencki(アムールチョウザメ)
MAcipenser sinensis(カラチョウザメ)
NAcipenser stellatus(Sevruga、Stellate Sturgeon)
OAcipenser sturio(大西洋チョウザメ、バルトチョウザメ)
PAcipenser transmontanus(シロチョウザメ)
QHuso dauricus(ダウリアチョウザメ、Kaluga Sturgeon)
RHuso huso(Beluga、オオチョウザメ)
SPseudoscaphirhynchus fedtschenkoi(Syr-Dar shovelnose sturgeon)
21Pseudoscaphirhynchus hermannii(Small Amu-Dar shovelnose sturgeon)
22Pseudoscaphirhynchus kaufmanni(Large Amu-Dar shovelnose sturgeon)
23Scaphirhynchus albus(Pallid Sturgeon)
24Scaphirhynchus platorynchus(Shovelnose sturgeon)
25Scaphirhynchus suttkusi(アラバマチョウザメ)

Family Polyodontidae(ヘラチョウザメ科)
26Polyodon spathulata(ヘラチョウザメ)
27Psephurus gladius(シナヘラチョウザメ)
Sturgeon Societyによる分類


 我が国に鑑賞魚として導入されたのは、非常に疑わしいものも含めてバイカルチョウザメ・Shortnose Sturgeon・Lake Sturgeon・ロシアチョウザメ・チョウザメ(我が国産ではないと思われます)・Sterlet・カラチョウザメ・Sevruga・シロチョウザメ・Shovelnose Sturgeon・ヘラチョウザメの11原種と幾つかの交雑種です。チョウザメ類の同定は特長的な種を除き、困難な場合が多く、相当いい加減な名を付して来る場合も有ります。気を付けましょう。


チョウザメの分布・生態


 チョウザメは北半球の寒帯を中心に分布しています。ですから熱帯魚とは呼ばれないものなのですが、なぜか鑑賞魚の一つとして水温25℃を保つ熱帯魚屋に顔を出す事が良くあります。
 チョウザメは純淡水性のもの、産卵は河川等で後に降海するもの、汽水域(塩湖)に生息するものなどが有ります。淡水産のものはバイカルチョウザメ・ダブリーチョウザメ・Lake Sturgeon・アムールチョウザメ・ダウリアチョウザメ・Pseudoscaphirhynchus属全種・Scaphirhynchus属全種・Polyodontidae科全種がそれに当たると思われます。幾つかの種は汽水域・沿岸域に降りる事でしょうが、他種よりはより淡水飼育に向くと思われます。他の種は全て降海性です。


飼育・管理


 チョウザメ飼育のネックは以下の3点です。

 その1:高水温下・酸欠環境は不可。
 その2:海水を必要な種が有る。
 その3:大型になる。

 まず寒帯産なので、水温は低く保たねばなりません。我が国の夏季は余りにも水温が高くなるため、北海道を含め全ての地域でクーラーを必需品とします。上限を18℃とするのが良いでしょう。25℃でも何とか夏越し出来る種としてLake Sturgeon・Shovelnose Sturgeonがあります。それでもノークーラーでは数回しか年を越せないでしょう。水温上昇は溶存酸素量を減らします。充分なエアーレイションを施す必要が有ります。長期飼育しない事には解らないところでは、河川産種の管理には強い水流を必要とする事でしょう。水流が無いと呼吸に支障をきたし、窒息してしまうのです(エアーレイションでは補えません)。適合モーターの数段上の機種を取り付け、L字ジョイントで壁に流れを叩き付けて、底に強い水流を起こす事です(濾過槽は上部式を用います。外部式等は全く役に立ちません)。汽水・沿岸棲の種は自分で泳いで酸素を鰓に取り込みますが、それには広い水量が必要です。水槽では難しいので、生け簀やタイルプールなどを作った方が吻端を傷めません。
 海水の必要な種・特に若魚のうちから沿岸で暮らす種の中には、一月で海に出るものが有ります。こうした種を純淡水で管理していれば、3ヶ月もしないうちに突然死が訪れます。上記純淡水性種を除き、多くのチョウザメには年内に海水化する事が絶対必要です。勿論、降海性の種にも長期に渡って淡水飼育可能なものが有りますが、一寸した水質変化でダメージを受ける場合が多々有ります。
 チョウザメは大型魚で、そのサイズも半端では有りません。チョウザメ類は最低でも100cm、大型種では600cmにも達する事が有ります。

 飼育設備:大型になりますし、動きも大雑把なため、狭い水槽では吻端・胸鰭を傷付けてたり捲れてしまいます。充分に広い水槽が必要ですが、その基本サイズは大型ナマズなどの比では有りません。奥行きはチョウザメの体長の1.5倍以上、出来れば2倍を確保したいところです。水深ですが、shovelnose sturgeonに関しては殆ど考える必要は有りません。45cmも有れば十分です。通常の底棲種もさほど高さは必要無く(但し奥行きが十分取れている事が必要です。奥行きが無ければ、水深が無いと方向転換出来ません)、60〜75cmも有れば良いでしょう。ヘラチョウザメに関しては、最終的に100cmを確保出来れば安心です。
 これまで水槽の話をしてきましたが、これは精々100cmまでのチョウザメに限った話です。これ以上大型化する種類は池・プール等を用意しなくてはなりません。幅300cmを超える水槽はケタが変わり、家並みの価格になってしまうのです。
 濾過槽は前にも示したとおり、上部濾過槽を使用します。モーターは強力に水流を起こさせるため、ワンランク上のパワーの機種を取り付けます。L字のエルボーを排水口に取り付け、水槽の角に向けて流れをぶつけます。こうして底面に水流を作る事により、チョウザメの呼吸を助けてやります。よく鼻上げをするチョウザメの子供を見る事と思います。あなたが60cm水槽に通常の上部濾過を設置して飼育すれば、相当早い時期にこれを見る事となります。そうなってからでは遅いので、早めに大型の水槽と強力なポンプを用意しておきましょう。背面はエアーカーテンをはり、溶存酸素量の確保に努めます。ヘラチョウザメに関しては、エルボーを逆に取り付け、水槽の対角線に排水させます。エアストーンをエルボーの真下に置き、気泡を流れに乗せてやります。こうすると余り無茶な泳ぎ方をしなくなるので、吻端をより保護する事が出来ます。濾過材には珊瑚砂単用・もしくは3割以下他の濾過材を混ぜたものを用います。
 底砂は細かい川砂・よく洗浄した海砂・硅砂パウダー等を敷きます。餌を砂ごと飲み込み、鰓で濾過するため、大粒の大礒砂などは不向きです。大礒砂を敷くくらいなら、いっそのこと何も敷かないベアータンクでの管理が良いでしょう。  メンテナンス:水替えは定期的に行います。手の平より小さいサイズの個体は兎も角、大型になれば塩素中和も必要ありません。大体水槽の半分を週一で交換すると良いでしょう。海水で管理するならば、もう少し間隔を伸ばしても差し支え有りません。水温は常にチェックし、日中の水温が25℃を超えるようならばクーラーを稼動させます。低いに超した事は有りませんが、常に18℃を超えぬように設定すると、ほぼ通年クーラーを動かさなければならないため、電気代が馬鹿になりません。給餌は日に2回、朝晩がベストです。餌は腹の形が変わるのが解るくらい与えても大丈夫で、その方が健康に育ちます。逆に餌不足は致命的で、見かけからひょろひょろしてしまったら回復は望めません。
 :手の平より小さいサイズの個体には、冷凍のブラインシュリンプと赤虫を混ぜて与えます。チョウザメは配合飼料に馴れ難い数少ない魚種の一つで、特にAcipenser属は不可能に近いものが有ります。私も色々試しましたが、Shovelnose Sturgeonがテトラ社のドロマリンに、Lake Sturgeonがキョーリンのキャットにのみ餌付きましたが、これとて他の生餌が来ると見向きもしません。但し生であれば生きていなくても問題はないので、魚肉・甲殻類を口に入るサイズに切って撒いておけばOKです。ヘラチョウザメは何でも食いますが、浮遊している事が条件ですから、外部濾過槽のシャワーパイプを底面に設置し、落ちた餌を再浮遊させるなどの工夫が必要です。
 病気:白点病など、通常の鑑賞魚にかかる寄生虫症には、まず罹りませんし、これのわくような水質ではチョウザメの死亡の方が先です。但し、水が古くなると口器の周囲が鬱血・変色して調子を崩します。こうなる前にコンスタントな水替えを行って下さい。
 チョウザメで多いのは怪我で、吻端・胸鰭の変形が殆どです。水槽は広いものを用意します。


種類と飼育難易度


 以上色々述べてきましたが、家庭で管理でき得る種は実は殆ど有りません。まず水槽ですが、自宅に90cm水槽を初めて置いた時の家族の反応を思い出して下さい。今度の水槽はそんなものでは有りません。また、巨大な水槽で海水を管理する場合、水替えの塩代だけでも馬鹿にならない事を考えてみて下さい(120cm水槽でも、半量は60cm水槽3本分以上なのですよ)。そして水温維持。魚のためだけのクーラーを、まず置く事が出来ますか?。家族の同意を得る事が、これまで以上に困難なのがこのチョウザメ飼育です。それでも、という方に飼い易い種類とは・・・
 @Shovelnose Sturgeon:唯一行動範囲が底面に限られ、しかも非常に大人しく純淡水で終生管理可能で、人工養殖も成功しており、取り敢えず採集(密漁)による絶滅の危険性が無い種類です。必要な水槽は最低120×60×45cmで、何とか家庭にも置けるサイズといえるでしょう。食はチョウザメ中もっとも細いので、大きくなるのにも時間がかかるので、それだけ設備をそろえるのに余裕が出来ます。欠点は気も弱いため、他のチョウザメと混泳させると、鰭などを噛まれ続けて弱ってしまうため、単独・同種同士の混泳に限られる事です。ガーパイク等との混泳は問題ありませんが、成長速度が違いすぎるため、アリゲーターガーなどの大型のガーパイクと混泳させると、食われてしまう可能性が有るため、その点だけは注意しましょう。水温も25℃を超えさせなければ問題ありません。
 ALake Sturgeon:純淡水(完全)で飼育出来る事、高温(25℃)まで耐えられる事、人工養殖による供給である事と前記Shovelnose Sturgeon同様の特長が有りますが、残念ながら非常に行動的で広いスペースを要する事、大型になる事(200〜300cm)がネックです。飼育下では成長がさほど早くないため、数年は120×60×45cmで管理できますが、最終的には180〜240×90×60〜75cmが必要となり、調子が良ければ更に大型になるため、タイル敷きのプールなどを作る必要が有るでしょう。プールは炎天下では水温が急上昇して折角の魚が死んでしまう恐れが有るため、地下車庫などを改造した温室(冷室ですか)に作る必要が有ります。
 Bヘラチョウザメ :純淡水飼育可能である事、餌を選ばない事から飼育が容易なようですが、水温はより低く設定しなければならず、餌の採り方からも解るように非常に広い遊泳スペースが必要で、しかも200cmを超します。勤めに出ている人ではまず充分な給餌が出来るとは思えません。現地では非常に数が減っており、人工繁殖個体といえども死ぬのが解っていながら扱う事は厳に慎むべきでしょう。

   これだけです。そう、他の種類は大型になりすぎ、海水も必要になるため一般家庭では管理不可能なのです。水族館で眺めて我慢しましょう。

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リンク集
@Bibriography of Sturgeons
 チョウザメ関連文献リスト。
ASturgeon Society
 学会です。全種の詳細も有ります。画像は有りません。


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