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最新の分類について

ウツボ管理法

 ウナギ目魚種について:いわゆるウナギ型で、腹鰭・棘条を欠き、血清毒を持つ。レプトケファルス幼生期が有る、といった共通の特長が有ります。この中でウナギは胸鰭を持ち、小さな鱗が有り、外からは鰓孔は見えません。ウツボは胸鰭も欠き、鰭も肉質です。アナゴは鱗が無い以外はウナギ様です。その中でもチンアナゴは口が小さいのが特長。ウミヘビは尾が身体よりも長い。
 見かけの似るヤツメウナギは顎を欠き、トゲウナギは吻端が著しく尖りこれが可動・背部に突起を多く持ち、タウナギ(シンブランカスとして稀に輸入されます)は、鰓が顎で融合します。
 種類:河川産・汽水のウツボはよくショップに並んでいます。
 Gymnothorax polyuranodonは東南アジアからオセアニアの汽水域に広く分布しています。茶褐色の身体に黒い虫食い斑模様が入った、Marbled Morayという商品名が一般的です。
 ポルカドットモレイは濃紫に白い水玉の入ったカラフルな種で、おそらくは河口付近から沿岸部にかけて生息しているものと思われます。塩分要求が高く、水温もより低め(25℃以下)を心がけます。
 ナミダカワウツボは我が国では南西諸島に分布する、純淡水〜汽水にかけて生息する珍種です。全身は黒っぽい褐色ですが、目から顎にかけて白いラインが入り、あたかも涙を流しているように見える美しい種です。
 ゼブラウツボはその名のとおり、縞模様が印象的な中型の種です。太平洋の広い範囲に分布しています。
 ミドリウツボは金属光沢を持つ、くすんだ緑一色の大型種で、全長が240aにも達します。北米大西洋岸〜カリブ海にかけて分布しています。
 コクテンウツボは全身が黄金色に輝く非常に美しい種類で、価格も最も高価なものの一つでしょう。小型種で30a前後にしかなりません。インド洋の喜望峰まで分布域は広いのですが、殆ど輸入されません。
 トラウツボはポピュラーなものの一つです。幼魚・成魚とも美しく、観賞価値の高いものですが、やや餌付きが悪いのが難点です。
 クモウツボは我が国のショップでは、最も普通に見られる種類でしょう。非常に美しい上に性質もやや大人しいので、紐みたいなサイズがよく見られます。
 シマウミヘビは本当にサンゴヘビのようなバンドの入る印象的な種です。西太平洋に広く分布します。餌付きが非常に悪い。
 チンアナゴはGarden Eelとして有名です。餌のやり方・環境の整え方が面倒です。
 ハナヒゲウツボはその派手さからずっと人気のある種で、性転換をすると色彩が変化するなど興味が尽きません。やや餌付きが悪い。
 モヨウタケウツボはWhite Ghost Eelの名で流通しています。無脊椎の水槽にも合う繊細さが魅力です。
 飼育管理:水槽は泳ぎまわれれば十分です。幅は体長の1.5倍も有ればよく、奥行きもさほど必要ありません。凝らなくてはならないのがレイアウトで、通常の種には珊瑚岩などを積み上げて隠れ家を用意します。これが無いといつまで経っても落ち着かず、餌は食わない・脱走を図る等ろくな事が起きません。ウミヘビ・チンアナゴには細かな砂を敷いてやります。隠れられるくらいは敷かなくてはなりません。従ってメンテナンスは非常に大変になるので覚悟して下さい。
 純淡水産種は勿論通常の鑑賞魚の管理をすればよいのですが、汽水産と共に必要となるのがクーラーです。海産種も多くがこれを必要とします(特にハナヒゲウツボなど)。大体28℃が上限で、これを超えると海産種は拒食に陥り、汽水・淡水産種も身体の骨が浮き出るような痩せ方を見せ、呼吸も荒く横たわり気味に動かなくなります。更に症状が悪くなると全身の粘液が白化し、こうなってはもう助けようがなくなります。我が国の夏は全ての動物にとって地獄ですから、クーラーは必需品なのです。
 淡水産・汽水産・海産共に最も注意しなくてはならないのが、何処へでも潜り込むという事です。特に流れに乗って濾過槽に落ちて行くタイプと、流れに逆らってこれまた濾過槽に遡上するタイプがあり、こちらの用意した隠れ場所など殆ど相手にしてくれません。オーバーフロー式でも、ストレーナーを這い上がってしまいますから要注意です。最大の難点はモーターまで達してしまい、そこで粉砕・濾過停止となる事で、この事故を未然に防ぐ様考えなくてはなりません。最もよいのが目の細かい網で覆ってしまう事ですが、苔の破片などが詰まらない様に、しょっちゅう観察しなくてはなりません。
 :導入して暫く馴れるまでは餌を食いませんが、一旦馴れてしまうと多くの種が底無しになります。餌には魚肉(特に頭部付きのイワシなど、トラウツボなど牙の鋭い種はこれが最もよい)・甲殻類(オキアミ・剥き蝦等、クモウツボなど顎がこじんまりした食の細いものに必要)・軟体動物(浅蜊やタコ・イカ、これは大型種に好むものが多い)・配合飼料(ペレットタイプのもの。汽水ウツボにこれを好むものが居る)を幾種か組み合わせて与えます。与え方ですが、只ばら撒くのではなく、プラントトングなどを使って、是非直接与えて下さい。こうすればよく馴れますし、餌の量・餌食いから調子も測れます。食い残しも出ません(満腹になると引っ込みます)。手で直接与えるとその気はなくとも噛まれる事が有りますから、絶対にしない様。
 チンアナゴは浮遊してくる餌を採る性質が有ります。餌は口に入るようなサイズのものを、広く撒く形を取りますが、勤めに出ている人・学生には手に余るところが有ります。細かい海砂・珊瑚パウダーを厚く敷き詰める為、残餌が溜まって腐敗し易いのも考えに入れておいて下さい。
 病気:病気には罹りません。但し怪我はします。ウツボ同士は大抵仲が悪いので、複数収容すると噛み傷が絶えなくなります。水槽一本辺り一匹にしておきましょう。
 混泳:ウツボは一匹ですが、大抵隠れてしまうのでスペースがもったいなく、何かしら入れたくなるでしょう。
 ハナヒゲウツボやモヨウタケウツボは無脊椎水槽に合います。時々出てくる事で別世界を実感できますから、試してみて下さい。但し彼らを入れたら蝦類・小魚は同居できません。
 クモウツボ・コクテンウツボなど大人しめの種類は大型のフグやスナッパーが良いでしょう。但し闘争の可能性は有ります。
 大型種はエイ・サメの類と相性が良いものです。ハタ類はウツボを虐めますから、避けるようにします。
 淡水・汽水性の種は大きくならないので、汽水ナマズ・チョウザメ・パーチ類・カレイ等と混泳可能です。但しハオコゼは毒が有るから大丈夫とはならず、いつのまにか食われて仕舞うので駄目です。
 どの種類と混泳させるにせよ、常に満腹・定期的な給餌(勿論毎日)を心がけないと、ウツボはすぐに悪魔に変わります。気を付けましょう。
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