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メンテナンスあれこれ

その1水槽

その2濾過装置

その3濾過材

その4蓋

その5底砂・流木等水槽内アクセサリー

その6保温機具(サーモスタット・ヒーター)

その7キャビネット・アングル台

その8苔対策

その9事故対策(水漏れ・漏電等)

その10水替えテクニック

その11魚の移動法






その1水槽

 水槽の寿命:水槽にも寿命があります。どんなに大切にしてもアクリル水槽では表面が傷付きますし、内部が見え難くなれば交換の時期です。プラケースは変色しますので、寿命は格段に早い。ガラス水槽ですが、これが非常に厄介。プラケースは勿論、アクリル水槽も余程粗雑な作りでなければ水漏れは起きませんが、ガラス水槽は古くなるとガラスが脆くなり、一寸した衝撃で割れて仕舞って取り返しの付かない事態を引き起こします。又、引越しなどで一度水を抜いてしまうと充填されているシリコンが弱くなり、再び水を張っても相当早い時期に水漏れを起こします。一度ガラス水槽の内部を良く見てみましょう。実に粗雑にシリコンが塗りたくられているのがわかります。良い水槽とはシリコンがガラスとガラスの間にしっかりと充填されているもので、シーホース製のものが非常に良く出来ていました(最近数年間私は水槽を導入していないので、良いものが他にも出ているかもしれませんが)。
 水槽の用途別選択:ガラス水槽は普及品である60cmサイズのものが安価です。アクリル製品は90cmサイズ以上になるとガラス水槽と同等の価格になり、それ以上になるとアクリル水槽のほうが割安になります。財布と相談しての水槽選びならば、ここら辺りを考えましょう。
 又、飼育するのがテトラなどの小型魚ならば、ガラス水槽で十分です。しかしよく暴れる大型魚は、ガラスを割る恐れがあるために、アクリル水槽が奨められます。大型の水槽の殆どがアクリル水槽である背景には、価格・収容魚種が関係しているのです。この他、プレコの歯害を考えればガラス水槽に限る、という方もおり、私も尤もだと考えますが、実はPanaque系・トリム系と言った異常に歯の強い種に至っては、ガラス水槽のシリコンをばりばりと剥いで仕舞ったり、大型の個体ではガラスを割って仕舞うなどの報告もあり、これらの種にはアクリル水槽で管理し、大量の流木を配して歯害を防ぐのが安全と思われます。
 プラケースは主に小型魚(グッピー・卵生メダカ等)の繁殖に用いられます。大量に必要とするため、最も安価なプラケースをブリーダーは多用するのです。
 新品水槽の処理:新品のガラス水槽はそのままでは使えません。まず一度水を張り、丸一日置いておいた後(濾過装置も新品でしたら、そこで同時に水を循環させます)その水を全て捨てます。これは新品の水槽のシリコンはまだ強く、毒性が有るためそのままでは魚に悪影響を及ぼす恐れが有るためです。


その2濾過装置

 性能の長短:最も安価なものは投げ込み式・底面式の2つのエアーリフトタイプのもので、双方エアーポンプとの併用が種です。濾過槽のメンテナンスの容易さは投げ込み式が最も容易なのですが、濾過槽そのものの容量が少ないため、濾過能力も相応の貧弱さです(要するに水質が不安定になる)。底面式は底砂そのものが濾過材になるので濾過能力は高いのですが、老廃物が詰まり易く止水部分やガスの発生など問題が発生します。これを避けるには常に底砂のヘドロ等を除去したり、3ヶ月から半年に1回の大掃除が必要になるので、メンテナンスが意外に大変です。そして双方ともエアーポンプ使用なので夜間は五月蝿い(以前夜間にエアーポンプを停めているという人がいましたが、このようなことは絶対なさらないように)。
 上部濾過方式のものは最も普及しており、使われている方も多いでしょう。長所はメンテナンスが容易なこと・水流を強く出せて、溶存酸素量もエアーリフトタイプのものとは比較にならない程上昇することです。欠点は矢張り濾過容量不足ですが、最近はワイド型も随分見られるようになりました。ワイド型は従来の普及型に比べ、数倍の濾過能力を誇りますが、その分重量が嵩むためにアクリル水槽でなければ危険です。
 外部式はモーター音が殆どしないこと、水流の向きを自在に出来ること(水面を叩かせなければ添加二酸化炭素も逃げない)、水槽の脇に置くので水槽上部をフル活用(好きなだけライトを置くなど)出来るため、水草の育成等に最適です。ネックは価格が高価なことでしょう。本体は勿論、有れば便利なアクセサリーを幾つか購入すると相当出費を余儀なくされます(メンテナンスの容易さはアクセサリー数に比例する)。


その3濾過材

 種類と効用:ウールは物理濾過専用です。どんなに細かそうに見えても、ガラス・ナイロンは孔が非常に少ないものです。バクテリアなど満足な数が住み着けるわけが有りません。但しこれは無ければ無いで困るもので、生物濾過層にヘドロ等が溜まり、目詰まりして濾過能力が落ちるのを防止するために重要です。つまりこれを常に水道水で洗浄しておれば、ヘドロの蓄積と濾過材の目詰まりを一石二鳥で防止できるというわけです。注意点はこれを単用しないことと、常に水に浸っている状態にすることです。ウールは水から出た状態では、効力は激減してしまいます。
 活性炭・骨炭は吸着濾過材です。価格は活性炭<骨炭ですが、効力も活性炭<骨炭です。活性炭は寿命が短く、精々3日からもって1週間といったところでしょう。それ以上入れておいても意味は有りませんし、椰子柄は溶け出してどろどろになり、下層の濾過材を目詰まりさせてしまいます。生物濾過材としての効果も有りません。活性炭は水が濁る・臭うなどの緊急時に臨時で使用する程度に止めます。ところが骨炭は寿命が長く(最低半年は持つ)、殆ど溶け出さないので目詰まりしません。動物骨なのでミネラル分も補給されますし、生物濾過材としての効果も期待出来ます。但し高価であること・水をしっかり通す必要があること(外部式にこれを充填するなど。上部濾過槽に一つ二つ敷いた位では目立った効果は有りません)などから、必須アイテムというには躊躇するところが有ります。
 セラミック・岩石・鉱物性濾過材:石ころ型とリング状のものが一般的です。石ころ型のものは最も多孔質ですが、目詰まりしやすいところが有ります。リング状のものは目詰まりはし難いものの、容積の半分以上が空洞であることから、生物濾過材としての効用は石ころ型よりも落ち、小さな濾過槽には不向きです。岩石・鉱物系の濾過材は重く、しっかりした作りの水槽システムに向きますが、セラミックのものは軽いので、小さな水槽向きです。余り知られてはいませんが、大磯砂も実は多孔質で濾過材に向きます。濾過槽・水槽がアクリル製など丈夫なものならば、何も高価な専用品など買わなくとも、生物濾過にはこれで充分です。
 珊瑚砂:実は最高の濾過材はこの珊瑚砂に尽きます。唯一の利点であり、また欠点でもあるアルカリ化は、特殊な種類(アフリカ産卵生メダカ・アマゾン水系ネグロ川産のシクリッド等相当低いpHを要求するグループ)を除けば通常問題ありません。濾過材の2〜5割程度を珊瑚砂にするだけで、非常に早期にバクテリアを涌かせて水質を安定させたり、pHの急降下を防ぐことが出来ます。初めての使用の際に硝酸塩・亜硝酸塩値が上昇することが有りますが、これは珊瑚虫の住んでいた孔に溜まった老廃物が分解されて流出したものです。数回の水替え・濾過材洗浄で落ち着きます。


その4蓋

 暴れたり、飛ぶ魚種には割られぬようアクリルの蓋を用います。但し小型魚にはガラス蓋を使います。これはアクリルがライトの熱等で変色し、ライトの透過率が著しく低下するためです。


その5水槽内アクセサリ


 アクセサリはショップによく売っていますが、本当にそれが必要なものかを良く考える必要が有ります。まず魚が中心にこなくてはならないのですから、人工の妙な工作物(プラスチック・陶器製のもの)は手にとって見ると可愛く見えても、実際水槽内に置いてみると五月蝿く邪魔なものです。苔の発生する土台になることも有ります。また、変な物質を溶出する恐れが有ったり、中が空洞でありながら孔が一個所にしかなく、水が滞留して腐敗に結びつく例が有りますので、人工の工作物はなるべく入れないようにしましょう。
 :まずは底砂(砂利)です。最近ではベアータンクでの管理も一般的になってきていますが、これはそれぞれの用途に応じます。一般的には大磯砂が用いられ、これは数段階の粒の大きさが有ります。水草を植え付けるならば、この大礒砂が根際が締まらないので良いでしょう。底ものの内、鬚をいつも底面に擦り付けているもの・砂に潜る性質の有るものには使用しません。このような性質の魚種(特にナマズ類)は擦過傷を起こし、そこへ真菌が付いて重篤な症状に陥ることが良くあるからです。硅砂は光沢が有って美しいものですが、角張っているので可能な限り細かいもの(パウダー)を使えば底ものも大丈夫です。少々アルカリに傾きますので、魚は問題ありませんが、水草には使用しないで下さい。大礒砂よりも少ないライトで水槽内が明るくなるので、省エネにもなります。珊瑚砂は強アルカリに傾くので、好酸性の魚種や水草には決して使いません。しかも光線で苔が付き易く、一度付着すると取れませんので底砂にはまったく不向きです。  石・岩:自然な感じを出すのに有効ですが、ガラス水槽ではこれが魚・地震等で動くと底に罅が入ったりしますので、余りお勧めできません。十分強度のあるアクリル水槽に、魚では動かせないような大きさ・形のものが入ると良いでしょう。この場合、角の尖っている岩は魚体が傷付きますから、河川の中・下流域の丸みを帯びた石を選択するようにします。又、種類にも注意します。花崗岩・玄武岩系の火山性の岩は非常に酸性が強く、石灰岩系の堆積岩性のものはアルカリに傾きます。
 流木:厳密な意味での流木というものは殆ど出回っておらず、木片・根部がそのままディスプレイ用として販売されています。従って木の灰汁出しは必ず行わなくてはなりません。中には木片が沈まずに浮いてしまったり、大量の油分が浮いたりとトラブルも良く聞かれます。沈まない木片は一度煮て灰汁出しをした後、重石を付けてバケツに沈めておきます。植物の細胞は死んでも細胞壁が残り、それが浮きの役割をしてしまうので、ここに水を満たさなくては沈むことはないのです。油分は根部のものから大量に出ることが有ります。面白い形をした根の部分は、主にここで養分を貯えていたことから、余計に染み出るものが多いのです(アフリカ産のものなどは特に)。
 水草:これをアクセサリというと誤解を受けそうですが、割と終生水中で良好に生活出来る種類は有りません。専門の水槽を立ちあげる意志がある方は兎も角、魚の生活にゆとりをといった意識の方ならば、はじめから消耗品と考えて扱ったほうが良いでしょう。水草にも数多くの種類が有りますが、さほど種類を気にすることは有りません。気に入ったものを選びましょう。最近では水中で育たない水辺の草が混じることも無いようです。少し注意したほうが良い場合として、グッピーなどの様に大きく柔らかい鰭を持つ魚種には、バリスネリア・羊歯類(ミクロソリウム・ボルビティス等)などの硬い葉を持つものを避け、カボンバ等の葉が柔らかい種類を選択することをお勧めします。


その6保温機具(サーモスタット・ヒーター)



 サーモスタット:温度管理器には2つの形式が販売されています。ひとつはバイメタル式で、ガラス管内に2種の金属を張り合わせた接点を収納し、その膨張の差を利用してon/offさせるものです。安価ですので良く使われます。欠点は温度調節が面倒で、水温計が離せない事・管を水中に直接入れるため、水槽内の容積を取ること・力の強い魚種に割られる可能性が有ること・接点のメンテナンスを怠ると焼き付いて断線せずに煮える事故の可能性が有る事等が有ります。もう一つは電子式で、本体は外掛け、小さなセンサー部のみ水槽内に入れるタイプです。バイメタル式の欠点を全て補う優れものですが、故障が頻発する機種が散見される事・価格が高価な事がネックです。ただ、魚中心で考えるなら、事故の際通電しっぱなしのバイメタル式と、断線する電子式とでは、生き残る確率が高いのは電子式で、バイメタル式ではほぼ助からないと考えて良いでしょう。
 ヒーター:石英製と金属製が有ります。安価な石英製が通常使用され、問題は対してありません。破損し易い事が指摘されますが、常にスペアを用意しておけば良いでしょう。破損して浸水すれば、熱の供給は止まります。ヒーターカバーを使用すれば、魚・キーパーの不注意による破損は防げますし、見かけ(水槽内で白は目立つため)も良くなります。いけないのは底砂に埋める事で、まず熱効率が著しく落ちる事・砂利がヒーターに焼き付く事・水槽底面に接触する可能性が高く、温度差でガラス面が割れる危険性が有る事から、避けるようにしましょう。サーモスタット/ヒーター一体型の機種も販売されていますが、ヒーターのほうが破損し易いため、故障するとサーモスタットがなんでも無いのに同時に交換しなければならなくなり、反って高価に付きます。

その7キャビネット・アングル台


 置き場所:水槽は重いです。置き場所には十分注意しましょう。畳の部屋には置いてはいけません。沈む上に水替え時等に水が漏れた場合、畳では取り返しが付きません。それでも自分の部屋が畳である場合、相当強いパネル(コンクリートパネル=コンパネなど。大きさは水槽よりも広い面積のものを用意する)を敷いた上に設置します。とにかく直にアングル・キャビネット類を置かぬ事です。水捌けを考えた上でと、玄関の土間に水槽を設置する事も駄目です。確かに土間は水捌けを考えて作られていますが、必ず外に向かって斜めに傾いています。ここに水槽を設置すると水槽の一方に力が加わり、水漏れを必ず起こします。  通常の家の床に置ける水槽の限界ですが、60cm水槽2本までは問題ありません。しかし90cm水槽以上は安普請の家では怪しく、120cm水槽はどのような家でもフローリングでは、1年後には目に見えて沈んでしまいます。補強のパネル等を幅広く設置するなどして、事故を未然に防ぐようにしましょう。私は180cm水槽2段を地下車庫に収容しています。ある程度大物を管理するならば、出費は覚悟しなくてはとても続きません。
 種類:60cm水槽には専用キャビネットを用い、決してカラーボックスを使ってはいけません。カラーボックスは安価なので使いたい気も解りますが、一度水が下に回ると崩壊までは時間の問題です。端が出っ張っているのも水槽に良くありません。どうせなら水に強いパネルを使用して自作してみませんか。ボックス型に組んだ上、背面にバッテンに板を組めば強度も倍増です(工作に自信の無い人は止めておきましょう)。金属製のアングルはすべてのサイズに有りますが、パイプ(特に四角)タイプのものは腐食に弱く、特に海水には決して使用してはなりません。大型水槽にはL字鋼使用のアングル台を用います。ショップで扱っていない場合、町の鉄鋼所に依頼すると大抵作ってくれ、しかもショップを経由するより価格も相当安くことが有ります。DIYショップで見られるファングルも自由に組めて良いものですが、水に触れると直ぐに錆びるので、必ず錆止めなどで仕上げてください。


その8苔対策


 苔の種類:まず珪藻です。水槽内に真っ先に出る褐色の苔で、指で擦ってもぱらぱらと落ちます。どのような環境の水槽にも発生するもので、逆にこれが出ない場合は魚にとっても余り良い環境ではないといえます。緑藻には房状のものと斑点状のものが有ります。しっかり張り付くタイプで、指で擦ったくらいではびくともしません。底砂が大き目の大礒砂などには房状のものが、ガラス面に珪藻の次の世代として斑点状の苔が出現します。藍藻は水槽面・アクセサリは勿論、底砂も覆う強力なもので、水の古化・アルカリ化に伴って現れます。非常に剥がれ易く、破片は千切れて水槽内を舞いますが、本体は分厚く水底に沈みます。独特の臭気を持ち、存在そのものが危険信号です。淡水産のものは緑から灰色、海水産のものはくすんだ赤です。灰色の房状苔も厄介なものの一つです。水流を好み、堅いものの表面にしっかり根を下ろして存在をアピールします。どんな条件下でも現われ、これが多くはびこると独特の物質を放つのか、明らかに小型魚の活力が低下します。放置しないようにしましょう。
 メンテナンスによる苔対策:まず人の手で落とす場合ですが、スポンジなどは思ったより取れませんし、苔そのものが破壊されて水槽内に散らばってしまいます。苔は落とすだけでは意味が無く、水槽外に出さなくては折角苔に変化した硝酸塩が又水槽内に滞留してしまうからです。しかもアクリル水槽ではどんなに丁寧に行っても、摩擦により傷が付いてしまいます。そこで有効なのがプラスチック製の三角定規で、これですと水槽壁面の全ての苔が落とせますし、慣れてくると苔をエッジにしっかり溜めて水槽外に取り出せます。欠点は寿命が短い事ですが、三面有るので一月は使えるでしょう。アクセサリに付いたものは取り出して洗います。あまりにしつこく灰色の房状苔の付いたものは、塩素などに浸けて抹殺します。再び水槽に戻す際は一度塩素中和材に浸した後、よく天日に干してからにして下さい。砂利に付いたものも同様に処理できますが、一部石灰岩系のものは塩素により腐食して危険なため、鉄ブラシ(何ていうんでしたっけ?)で擦り落とします。流木も同様です。
 苔を防ぐ方法ですが、珪藻に関してはこれを防ぐ事は出来ません。苔の出現を遅らせたいならば光量を減らす事です。但し光量を減らすと雑菌・寄生虫が湧き易くなり、明らかに魚体に悪影響が出ます。そこで珪藻に関してはこれを食う生物を入れて任せるようにしましょう。珪藻をこまめに除去してさえいれば、緑藻はまず発生しません。出てしまった場合は苔の餌(硝酸塩)を疑い、水替えをより励行する事によって防ぐ事が出来ます。藍藻の発生はもってのほかです。水替えを怠っている・濾過槽/底砂の老廃物(ヘドロ)の放置が原因ですので、基本的な管理をしっかりしましょう。灰色の房状苔は一度侵入されてしまうと、当分はお付き合いしなくてはなりません。
 苔を食う動物:魚ではプレコ・オトシンクルス等のナマズ、アルジイーター・フライングフォックス等の鯉科近縁、ギンポ・カエルウオなどが有ります。何れの種類も珪藻のみ食し、他の苔は食いません。プレコの大型種はとりあえず剥がしてはくれますが、矢張り食わないので濾過槽に溜まる苔を常に取り除く必要が有ります。また、種類によってはアクリル水槽はぼろぼろにしてしまうため、導入は見合わせたほうが良い種(Panaqueなど)が有ります。鯉科のものは非常に気が荒く、他魚を襲う(舐め付く)ため苔取りには向きません。プレコも鈍間な魚種との混泳は、相当注意したほうが良いでしょう。ギンポは無脊椎水槽には向きません。
 蝦・貝は慎重に使います。大和沼蝦は小さなうちは働き者ですが、大きくなると小さな魚を襲います。しかも魚の餌を横取りしたりして厄介物になる場合が有るため、大型になったら専用の水槽を用意し、手におえない灰色の房苔の付いた水草のみを入れておいて、強制的に除去させると良いでしょう。石巻貝は汽水棲で、淡水では長生きしません。プレコの導入が無理な汽水の水槽に入れる事が出来ますが、複数入れると水槽面に卵を産みつけるため、反って見苦しくなる事が有ります。アップルスネールは厄介な房状苔も食いますが、水草も食ってしまうため気を付けましょう。


その9事故対策


 水漏れ事故ですが、多くがガラス水槽で起きています。原因としてはまず水平な場所に設置していない、という事が有り、水槽の両端の水位が明らかにずれていれば、水漏れは秒読み段階です。ガラスは単にシリコンで補強されているだけですから、少々片側に強い圧力が加われば、簡単にずれてしまいます。直ちに置き場所を変えて下さい。
 引越しの後に水が漏れたという場合、振動が原因になったものは少なく、運搬の際に水槽を乾かしてしまった事が、シリコンの劣化を早めたという場合が殆どです。言い換えれば引越しなどしなくても、一度水槽を空にして保存後、再び水を張ると相当早い時期に水漏れは起こります(特に安売り品)。新品に交換する事も良いのですが、現在ゴミを減らす社会情勢下ですので、再度自分で補強し直す事をお勧めします。  余り有りませんが、プレコにシリコンを剥がされる事が有ります。特に砂を掘るタイプの種類は歯が強く、注意を要します。
 水槽のガラスが割れる場合、勿論ものをぶつければ割られますが、ガラスの耐久力も時間を過ぎる毎に劣化してきます。新品では手が勢い良くぶつかったくらいではガラスは割れませんが、3〜5年も過ぎたものは指の関節でヒットしただけで罅が入る事が有ります。小さな子供のいる家庭では、手の届かない場所に設置する・早めに交換する・アクリル水槽にするなどの処置が必要です。
 アクリル水槽での水漏れは、製造過程に問題が有ります(これも安売り品に多い)。一度でも水漏れした水槽は二度と使用しないようにしましょう(メーカーも敬遠します)。
 漏電事故も危険なものが有ります。特に水槽がコンセントより高い位置にある場合、コード類を何かの原因で水が伝わる事が有ります。これを防止するにはコードをコンセントまでぴんと張らせず、一度弛ませてコンセントより下に来るようループさせる事です(水切りといいます)。特に海水の場合、コード類を水槽の裏に纏める事は大変に危険です。また、コンセントに埃が溜まるとショートしますから、一月に1回はコンセントを抜いて、掃除・接触部の錆落しを行いましょう。緑青など葺いていたら要注意です。
 電気器具の水没も注意が必要です。ライトの下には必ずガラス蓋を置き、水面とライトの双方を保護しましょう。モーターで水没が起こる例としては、大型水槽などでレイシー等のフランジに噛ませて固定するタイプを、ガラス水槽に使用した場合です。ガラス水槽のフランジは、プラスチックなどでちゃちくバリが食み出した位しか有りません。ここに無理に噛ませて使用すると、少々力の強い魚が暴れただけで簡単に外れてしまいます。その点アクリル水槽はフランジの幅が充分で厚いため、この種のモーターを使用する際はアクリル水槽がベストです。ガラス水槽には横置き式などを用いるようにしましょう。
 水替え時に良く起こる事故は、水を注ぎ終わった事で安心してコードをつなぎ忘れたというもので、翌日水槽内が酸欠状態になってしまう事です。逆にヒーターのコンセントを抜き忘れて水を抜き、ヒーターカバーを溶かしたりガラスが割れたりする事故も良くあるようです。電気器具は常に注意してみる様心がけます。


その10水替えテクニック

 基本は週1回・1/3〜1/2水替えです。これでも調子が悪い場合、さまざまな測定器具が販売されているので、それらを利用します。
 最低でもpH値は測定して下さい。単純に考えて、pH7.0を中性として全ての魚種に最適とすれば、水の悪化でpHは下がるものです。pH6.0を下限とし、これを切るようならば水替えは急務です。pHの測定は水替え直後から、次回の水替え日当日まで毎日行います。そして徐々に下がるのか、または翌日には急激に降下しているのかを確かめます。徐々に降下しているのならば、水替えの頻度を増やせば良いだけです。いずれ水槽内環境は落ち着く事でしょう。しかし翌日には6.0付近・もしくはこれを切る場合、システムそのものに問題が有ります。容量に対して魚数が多すぎる・濾過槽がちゃちいなど、どう現在手を加えても修復不可能なケースが殆どですので、人に魚を譲る(ショップに返す場合は可能かどうか連絡する事)・より強力な濾過装置を導入するなどを考えます。
 pH測定には電子式をお勧めします。高価な反面非常に楽ですから、苦痛を感じずにすみます。また、試薬式では色彩による判別のため、どうしても誤差が生じてしまいます。しかし電子式でしたらコンマ1桁まで一発表示ですから、非常に分かり易いものになっています。
 アンモニア・硝酸塩・亜硝酸塩を測る場合、ケチしてどれか一つだけを行う事は無意味です。それでしたらpHのみで判断していたほうがマシです。それぞれは密接に繋がりが有るため、それを理解しなくてはなりません。
 アンモニアは魚が直接排出する老廃物で、毒性の強いものです。人間の血中に広がれば、致死性の昏睡に陥ってしまうほど恐いものです。これが検出された場合は、魚数が多すぎる・濾過バクテリアの数が足りない等が考えられ、非常に危険な状態です。しかしながらアンモニアは揮発し易く、上部式濾過装置を使用していれば見たくともみれるものではないくらいです。水の循環しないいいかげんな濾過装置や、密閉式の濾過装置では別です。
 硝酸塩・亜硝酸塩に関してはそれぞれNitrosomonasNitrobacterといった(硝化)バクテリアがアンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩と変化させ、その際にどれほど溜まっているかで水槽内の状況を推測できます。
 ケース@*アンモニア○:亜硝酸塩×:硝酸塩×=濾過バクテリアが存在しない(薬品の投与など)。もしくは著しく少ない(濾過装置の不適・濾過材の選択の誤り)。
 ケースA*アンモニア○:亜硝酸塩○:硝酸塩×=Nitrobacterの不十分・欠如(濾過槽の容量不足・好気条件の不確立)。
 ケースB*アンモニア○:亜硝酸塩×:硝酸塩○=Nitrosomonasの不十分・欠如(理由は上記に同じ)。
 ケースC*アンモニア○:亜硝酸塩○:硝酸塩○=システム不備と水替えの怠慢(魚は長く生きられない。全ての条件を見直し・飼育資格まで)。試薬の劣化(他の製品で再測定)。
 ケースD*アンモニア×:亜硝酸塩×:硝酸塩×=理想形。  ケースE*アンモニア×:亜硝酸塩○:硝酸塩×=魚数が多い・濾過容量不足(硝酸塩値は低い)。硝酸塩値が高い場合は亜硝酸塩値の再測定・試薬の劣化を疑う。
 ケースF*アンモニア×:亜硝酸塩×:硝酸塩○=魚数が多い・濾過容量不足(亜硝酸塩値は低い)。亜硝酸塩値が高い場合は硝酸塩値の再測定・試薬の劣化を疑う。
 ケース8*アンモニア×:亜硝酸塩○:硝酸塩○=水替えの怠慢。



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