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金魚管理法

金魚の入手
 飼育を前提にするのであれば、ふらっと(ショップに)立ち寄っての衝動買いや金魚すくいは避けるべきです。先ずは金魚専門のムックなどを1冊入手し、品種紹介のカラーページを眺めて飼育したい品種を決定しましょう。説明文には飼育難易度が示されているものが有るでしょうが、そんなものは気にしなくて構いません。(難易度が高かろうが金魚は金魚、)先ずは手掛けてみたい品種を決定することです。写真が1枚しか無いものも有るでしょうから、気に入った品種は画像検索を掛けて(流通する個体の体型や模様等)確認すると良いでしょう。
 実際の入手は水槽立ち上げ後(後述)となります。入手にはショップ(出来れば専門店)を直接訪問するか、通信販売(オークション含む)となります。最近は通信販売の技術(梱包や輸送の手際)も上がったため、割りと安心して利用出来ます(ちなみに管理人は死着は1度だけ)。但し、酷寒酷暑の時期は避けるべきでしょう(発送時に対策してくれる場合は別)。
 体長(尾鰭を含めないサイズ)5〜6cmの個体が最適です。これより大きいと濾過槽稼働直後で水の汚れが激しい・変化した環境に慣れてくれない・高価なので亡くなった時のダメージが大きいなど色々厄介です。逆にこれより小さな個体は輸送のストレスに弱く、水合わせの失敗が非常に多くなります(褪色前の個体は特に)。小さな個体は体力を持ち合わせていないため、ダメージを受けた場合・回復が非常に困難です。

水槽の立ち上げ
 最大の問題は置き場所・それに伴う家族の同意です。水槽はサイズに比例して大変な重量になります。水槽を設置した一角はこれまでとは異質の空間となりますので、今後のメンテナンスなども踏まえた上で慎重に決定する必要があります。水槽台は必須です(下駄箱置きやカラーボックス不可)。まずシステムが新品の場合は濾過装置や砂利などを全て設置し、水をきっちり張った状態で回し24時間後に全ての水をかき回しつつ捨てます。シリコン成分やホコリ・油分を水槽内に残さないためです。その後再び水を張って1週間回しますが、途中で水草・巻き貝など投入すると水が良い感じにこなれます。無論、ライトを点灯することにより(目に見えずとも)藻類が活動を始めます。そんなわけでパイロットフィッシュは不要です。

容器
 (ペットショップや量販店など)一般的に出回る45・60の規格水槽はガラス製で、後述のアクリル水槽に比べれば非常に安価です。これらは夏のシーズン中に飼育セットが組まれることが多く、初心者向けとしてよく流通しています。これらのセット(保温器具が付属した熱帯魚用が良い)は丸型の金魚の飼育に適します。丸形は90cm水槽が用意出来れば終生飼育可能です。ギベリオ型の金魚には120cm以上の水槽が必要になるのですが、殆ど語られぬほど和金は早々と殺されているのが現状です。匹数の問題(金魚は5匹以上の複数で飼育するのが良い)もあり、最初は小型の水槽を用意し、後々90・120cmの水槽に移行するのが良いでしょう。水槽はガラス製とアクリル製が存在し、天災を考慮すればアクリルの方が転倒しても砕け散らないので安心です(家の中は裸足ですから)。
 プラケースは安価で丈夫なのですが、変色し易く既存のアクセサリが殆ど活用出来ないのがネックです。孵化・稚魚用、薬槽・トリートメント用などには大いに活用出来ます。
 プラ池・船はベランダや庭にスペースが有れば設置してよいものです。上見に限定されますが、元々金魚は(ギベリオ型を含め)上見用に改良を重ねてきた品種なので問題はないのです。屋外管理の最大のメリットは太陽光を活用出来ることです。色揚げや藻類の発生等、水槽では考えられないほど好適環境を用意出来るのです。但し、襲来する敵(捕食者)も多い。
 変わり容器である金魚鉢・瓶・水瓶・丼などは来客(観賞)用です。お客との会話のネタに持って来い、従って自営業の店先や商談部屋などによく設置されます。当然のことですが、小さな容器では水換えを毎日行わなくてはならず、終生飼育も基本不可能なので(家の)奥にきちんと育成スペースを設ける必要があります。軒先に水盤を設置し、睡蓮などを植え付けるのであれば安定した環境が望めます。勿論・容量のあるバスタブのリサイクルであれば池同様に管理出来ます。
 金魚の成長に関し、容器のサイズに制限を受けると言うのは自己暗示のようなものです。傍から見れば狭い容器に詰め込んでいるとしか見えない(悲惨な)状況でしかありません。

濾過装置
 エアリフト式には投げ込み式と底面式濾過の2種類が存在します。投げ込み式は水の対流を起こす目的のもので濾過能力は低く、エアストーン(含エアカーテン)の投入と大差ありません。基本は水換えによる水質の強制維持になります。但し、これらは金魚の遊泳に決定的に邪魔なため、出目系には厳禁。逆に底面式は投げ込み式は比較にならないほど濾過能力の高いものです。但し、濾過材である砂利を厚めに敷くため、老廃物や排泄物で目詰まり必至となり、定期的な丸洗いが必要となります。(排泄物の量が桁違いなため)水換えの際にサイフォンで底砂をかき回していても、です。
 上部式は水槽飼育において最も効率の良い濾過装置です。メンテナンスが容易で、様々な濾過材を組み合わせて使用出来ます(ネットに入れれば外に出して濯ぐのも楽)。なるべく容量の大きなものを選びますが、水流が強いので稚魚・幼魚には不向きです。尾鰭の幅広いものも配慮が必要でしょう。水槽のサイズ(90cm規格以上)が有れば全く問題ありません。
 外部式には外掛け型とパワーフィルターの2種類が存在します。外掛け型とは投げ込み式と(濾過能力に)大差ありません(更に底に対流が発生し難い欠点あり)。パワーフィルターは濾過容量が大きく、静音なので人気があります。高価でありメンテナンスは面倒ですが、ダブルタップなどのアクセサリを組み込めば容易に持ち運べるので部屋を汚さずに住みます。
 金魚の飼育にはpH7.0〜8.0のアルカリに傾いた水が適しています。そこで濾過材には珊瑚砂・牡蠣殻を混ぜるのが一般的です。
 非力な濾過装置で頻繁な水換えを行う向きもありますが、普通に通勤・通学している方が真似する意義は皆無です。

pHショック(導入時)
 新仔クラスの個体によく見られます。霧揉み症状の後に定位(多くの場合水底)、過呼吸や痙攣が見られます。当日中に収まらないと助かりません。こうならぬよう水合わせはしっかり行います。丁寧に行う場合は金魚の袋をバケツに空け、チューブなどを用いて水槽の水を時間を掛けて移します。水槽には仕切り板を外した産卵箱を設置し、まずここに移して様子見・万一の場合に備えます。異変があれば一旦バケツの方に戻します。バケツの水を半分捨て、もう一度チューブによる水の移動で徐々に慣らしていきます。
 当歳魚以降(褪色終了したもの)はもう少し簡単に済ませられます。10リットル位のバケツに金魚の入った袋を入れ、水槽の水を同量になる割合(大雑把で構わない)で流し込みます。袋の口は水槽の水を注ぎ終わった後に開けて金魚を水ごと移動させます。10〜15分ほど経ったら金魚のみ水槽に移動、バケツの水は全て捨てます(輸送の際の粘液等ストレス物質を排除)。空き時間を利用して水槽の水換えも同時に行って構いません(その方が良い)。合流前にトリートメントをする(薬槽に放す)場合も同様です。

水換え
 新しく導入した個体・体長が3cmに満たない個体がいる水槽では気を使う必要があります。バケツに汲み置き24時間エアーレーションをした水を用い、水温も合せます(冬期は水合わせと同じよう、換え水を袋=ゴミ袋など適当で良い、但し新品に限る・に詰めて浮かべる。)。各種コンディショナーを用いても良いでしょう。普通は1/2〜1/3量であれば水温を合せた水道水直でよく、これをチョロチョロ〜サラサラ程度に時間を掛けて注ぎ足します。上部濾過装置の排水口からの曝気を利用する・注水口部分に産卵箱や糸目カップを設置するなど急変しないよう配慮しましょう。
 ×水換えの準備をしていなかったのでまた今度。
 ○水道水ででも完膚なきまでに水換え。
 水を変えない方が金魚にとって酷であると肝に銘じます。水換え後の転覆・但し翌日には平常運転というケースでは、水温差・若しくは塩素の除去が不完全(新仔の場合)な可能性があります。

保温器具
 丸型品種を健康的に維持するには冬期の保温が重要です。屋外管理・若しくは電気代を払えないという家庭以外は水温を18℃以上に維持し、普通に給餌するのが良いでしょう。長寿なギベリオタイプなら兎も角、丸型を冬眠させなくたって寿命に大した差は生じません。病気知らずで天寿を全うした方が金魚だって幸せです。

フードタイマー
 (謳われているような)長期家を空ける際の使用(水槽の水が蒸散する真上の位置)は餌が酸化するため、余程の理由がない限り勧められません(ケース内に数日分を充填し、一気に吐き出すトラブルなど遭ったら目も当てられない)。帰宅が不定の飼育者にこそ、決まった時間に餌を与える意味で必須アイテムと言えましょう。24時間周期に設定、朝でも帰宅時にでも「1回分」を充填、ストッパーなどは外しておいてしっかり与えます。尚、これに馴れると人の姿を確認しても暴れなくなります。金魚は規則正しい給餌により、時間を覚えるのです。出目金の眼球を守ることにもなるでしょう。金魚達は多少(飼育者に対し)無関心になりますが、覗き込めばきちんと反応してくれますからご心配なく。

水草
 有った方が良いですが、(タイプに差はなく)大抵食い散らかされてしまいます。更に濾過装置はこれの枯れ葉・粉砕片等で目詰まりを起こし流水量・濾過能力を落します。逆に濾過装置を使わない環境にならお勧め。

金魚の品種簡易分類

ギベリオ型
 鮒形・長手と呼ばれている遊泳性の高い一群です。和金・朱文金・鮒金・鉄魚などがこれに当たり、他型に対し圧倒的な運動性・機敏性を誇るため混泳は出来ません。但し、匹数次第ですがサイズがかなり異なったものを同居可能(小さい方はより機敏)。かなり大きく成長します(90センチ水槽以下では維持が難しい)。
 和金・隼人錦・鉄魚・朱文金(寿恵廣錦/ブリストル)・コメット・地金・オーロラ。

ギベリオ型:鉄魚
 飼育管理そのものに難儀な点はありません。そこで鰭を含むコメット体型を美しく魅せる管理に重点を置きます。流れはあってもなくても構いませんが、容器の幅は十分に取ります。幅の無い容器ではバランスが崩れた醜い体型になります。同じギベリオ型でも(短尾の)和金とは根本的に異なりますから要注意。水深は最大サイズの収容魚の全長を超えていれば可。

ギベリオ型:鮒金
 本品種は環境変化(移送・水質・水温)によるストレスを受けやすく、導入には少々手間が必要です。これだけで飼育するならそのままで結構。但し、他のギベリオ型と合流させるには1〜2週間は隔離飼育(塩か青水)を行います。強いストレスを受けた鮒金は着底・大量の粘液を分泌し、最悪の場合・肌荒れ症状が顕著となります。これが消える(若しくは発生の可能性が消滅)までの間は隔離が必要なのです。この手間を省いて合流させてしまうと他の品種による総攻撃が始まり、突き殺されたり水槽から飛び出して干物となったりしてしまうのでご注意。粘液放出時は被災フェロモンも分泌されるためです。毎日の掛流し的な水換えで生臭さ皆無・一般的なギベリオ型の動きを見せるようにまでなれば合流可、翌日までに落ち着いていれば心配なくなります。

琉金・出目金型
 性格はきつめ。よく言われているようアクセサリ類は入れないほうが良い。入れるのであれば(プラや陶器製の)人造構造物ではなく、マツモなどがよいでしょう。出目性金魚においては眼球を水槽壁面に擦らぬよう、給餌の際は水槽の上から撒いてやると安心です。導入したての出目金が他個体を噛みまくる、これは出目性金魚のその視力の弱さ故の行動なので大目に見ましょう。毎日給餌を欠かさず十分な量を与えることにより、このガッツキ行動は鳴りを潜めていきます。
 琉金(狭義のキャリコ)・東海錦・土佐金・出目金(出目性○○や龍眼除く)・蝶尾・竜晴・玉サバ・珍珠鱗(高頭パール/ピンポンパール)・穂竜(変わり竜)。

獅子頭・蘭鋳型
 大型になる半面・性格は最も大人しいグループです。性質は同じながら蘭鋳型がセカセカして見えるのは、背鰭を欠く(泳ぎが下手)ためです。初心者向き。
 オランダ獅子頭(ジャンボ)・東錦・龍眼・丹頂・花房・蘭鋳・江戸錦・京錦・秋錦・津軽錦・南京。

頂天眼・水泡眼の類
 非常に特徴的(眼球が上方を向く)な見かけと体型(引き伸ばされた蘭鋳型)で、水泡眼の水疱は本来眼球が収まる筈の部分と思われます。余り混泳に向かないグループです。水泡眼は普通に視力が利きますし、頂点眼も盲目ではありません。
 頂天眼(頂点花房はこちら)・水泡眼。

その他
 オタマ・無選別とはいわゆるハネ個体。そのレベルは色彩(品評会などには基準がある)から奇形(鰭の見かけから鰓捲れなど)に至るまで様々、通常扱いが悪く安価だからと入手しても長生きせず成長も宜しくない事が多いもの。


色調の変化
 金魚は生涯褪色を重ねて見掛けが変わります。気に入った柄は画像に残しておきましょう。初めはみんな青・黒いのです。その後に(しばしば白色を経由)様々な色調が展開されます。代表的なパターンは以下の通り。褪色は基本腹側から背側に向かっていきます。
 黒→虎(ハゲ)/レッサーパンダ→赤。出目金・蝶尾。腹部が銅〜赤銅色の個体。
 黒→(白黒)パンダ/羽衣→白。出目金・蝶尾やオランダなど。腹部が青・銀色の個体。
 黒いママ(地色と溶け合わない)。東錦系(ブラックドラゴンと称される個体)の黒(東南アジア産黒蘭鋳なども)より濃くなっていきます。黒単独で禿げ上がり始めた場合、同系統の黒個体を入れるとまた黒が戻る場合があります(確認済み)。
 視界の効かない濁り水で赤色は強くなる(青水の有効性)。ちなみにアスタキサンチンが赤くするのは肉質。


混泳のコツ
 餌の認識を誘導・強制します。それには生き餌・冷凍餌を与えない(配合飼料のみ)。死んだ個体を決して突かせない(直ちに取り出す)。餌はごく細かい粒に限定し、大きめの粒を与えない(餌は小さいものであるとの刷り込み)。時間を決める(時間外に存在するものは餌ではない)。新個体の追加は餌やり後や水換え時・若しくは消灯後に行います。


 一般家庭の飼育に於いて、金魚は小さく元気であって欲しいものだと思います。グイグイ成長して水槽が狭過ぎになるのは困る、ただ餌を控え過ぎて金魚が不調・ペラペラ(必然的な短命)では飼育する意味がありません。「沈降性の配合飼料(金魚のサイズに合わせる必要無しで小粒より位置段階小さめ)をみんなに行き渡るくらい/底砂は細かな粒=大磯砂より小さい・軽いものが1〜2列程度で餌が入り込まない・用意に掘り起こせる/1日1回時間厳守」で、ストレス無く目的に近付けることが出来ます。なるべく小さな包み(一般家庭なら50〜100g入り)を購入し、シリカゲル・酸化防止剤等を同封し1ヶ月以内に使い切る(余ったら惜しまず廃棄する)ことが重要です。みんなで底砂をザクザク掘るようになればOK。最初のうちは量を決めかねますが、数分でピタリと餌探しをやめるような量は多過ぎ・次回からもう少し控えめに与えます。
 ペレットは圧縮されています。与えるペレットは一旦水を吸わせ、そのサイズ(3〜5倍位に相当)を確認して下さい(面倒なので毎回水を吸わせることはない)。金魚にとって必要な量は生き餌やフレークと異なり、ペレットを給餌する場合は相当控えめでよいのです。
 クランブル系の飼料は食べ残しが出ないようにします。ペレットなら食べるまで暫く放置が出来ますが、クランブルは速攻溶けてヘドロの元・水質悪化に直結しますので。

金魚によく見られる病気
 導入時・屋外管理での白点病(致死性高・治療可)があります。原虫性疾患は伝染性が強いため、その場で対処する必要があります。白点病の場合はヒコサンが劇的な効果を示しますが、(色素剤全般を)使用する際・皮膚に付着せぬようゴム手袋を着用します。また、強い薬ですので投薬は1回で終わらせたいもの、そこで(白点虫が潜む)底砂を全て撤去してから処方します。底砂は流水よく洗浄後、一旦煮沸すると安心です。
 病気が発生した場合、症状の出た個体は速やかに別容器に隔離します。特定はその後で結構。本水槽に投薬する場合でも隔離は必須です。この手間を惜しめばより悲惨な結果となりましょう。本水槽への投薬量は半量・薬槽には全量が基本です。
 日和見感染症はエロモナス症・カラムナリス症がこれに当たります(治療は容易)。抗酸菌症(穴あき・水カビ)も日和見感染ですが、一度感染すると体内から病原体を駆除することが不可能になります(療養有るのみ)。
 病原体性の転覆症状はエロモナス起因(治療可)とウイルス起因(治療不可)があります。

各種症状と基本疾患
 各疾患の詳細・対処方法はFAQにて。

 pHショック
 アクアレオウイルス感染症
 アンモニア中毒
 イカリムシ症→甲殻類の寄生。
 ウオジラミ症→甲殻類の寄生。
 エピスティリス症
 ガマガエル病→エロモナス症。
 ギロダク・ダクチロ→扁形動物の寄生。
 チョウ症→甲殻類の寄生。
 カラムナリス症
 ピンホール→抗酸菌症。
 ポップアイ→連鎖球菌感染症。
 ソブ→抗酸菌症。
 ツリガネムシ症→エピスティリス症。
 ワタカブリ病→抗酸菌症。
 水カビ症→抗酸菌症。
 白点病
 穴あき→抗酸菌症。
 移動性鮮血班→粘液胞子虫症?
 抗酸菌症
 口腐れ病→カラムナリス症。
 白雲病
 血走り→エロモナス症。
 充血・出血→エロモナス症。
 非病原体性浮沈症候群
 赤斑病→エロモナス症、他。
 黒ソブA(班)→アンモニア中毒。
 黒ソブB(点)→扁形動物の寄生。
 沈没症状→非病原体性浮沈症候群。
 扁形動物の寄生
 尾腐れ病→カラムナリス症。
 松かさ病→エロモナス症。
 連鎖球菌感染症
 眠り病
 金魚ヘルペス
 鼻上げ
 転覆症状→原因多数(病原体性と非病原体性)。
 霧揉み→pHショック。
 腎腫大症
 胞子虫症
 鰓病症状→カラムナリス症、他。
 鱗立症状→エロモナス症。

浮沈
 浮き症状・転覆病とも。丸形に多発するためある意味機能障害とも言えます。原因は物理的原因による鰾障害(もしくはウイルス性)とエロモナス由来の消化管トラブル起因等。エロモナスは常在菌なため根絶が不可能、従って日頃の管理を徹底します。沈没は着底行動で個体の調子が悪いため発生、こちらはエロモナス起因とは限らないのでとにかく(環境整備に)手を尽くしてやります。
 生き餌>配合飼料。配合飼料よりもアルテミアやダフニアの方が良いのです。また、兄弟魚でも自然発生する藻類を突く個体は浮沈しなくなる傾向があります。屋外管理の金魚より屋内水槽の金魚に発生しやすい理由と言えましょう。水槽内をピカピカに磨こうなどと考えず、意図的に藻類を残しておくと暇な時に水槽壁面をツンツンするようになります。成長するに従ってやらなくなるので要注意(早いうちに習慣化)。なお、植物性を謳う配合飼料に同様の効果は期待出来ません。
 沈降性>浮上性。空気(特に水面をぱくついた際のもの)は全て鰓から排出されますが、ペレット内部のものはそうはいきません。餌は細かく見つけ難くすることにより、時間差で給水され好都合(砕ければ空気も出ていく)。
 クランブル(顆粒)>ペレット。クランブルにはフレークも含みます。圧縮されていなければ消化も良いもの。注意すべき点は古い(酸化した)餌(乾燥剤封入でも3週間まで)、色揚げ用(香りの強いものやホルモン強化系)は不可。
 稚魚・幼魚期にお腹いっぱい頬張った個体はよく沈みます。これは回復が早く問題ありません。

畸形
 金魚自体が畸形という意見は置いておいて、帆柱の存在(これは好みの範疇)や鰓蓋・鰭が歪にひん曲がる畸形は割と普通に見られます。帆柱は基本的に先天性なので治りませんが、飼育環境の問題に由来する鰓捲れ・鰭曲がりの場合は改善する見込みがあります。切断したら変形が無くなったというケースはこれ。但し、先天性の場合では決して回復せず、同様に再生するので無駄です(感染症による死亡確率も高い)。鰓捲れ個体は水質悪化に対しより過敏です。

その他薀蓄常識非常識
 単独飼育は特に問題ありません(狭い容器に2〜3匹とか言う方がヤバい)。飼育者相手に十分やっていけます。余り構ってやれないのなら5匹以上。
 隊列は仲良しだから、ではありません。襲われぬよう弱い個体が強い個体の背後に回り込んだ結果です。
 ○○不要系はそれこそ不要、他に濾過の充実などやるべき事は幾らでも有ります。非科学(=非論理)的なまじない・念仏で生き物は飼えない。金魚の遊泳の邪魔に成りますから、水槽に人工的なアクセサリ類は配置しない方がよいです。
 金魚の悪食は本物でメダカもエビも巻き貝も水草も食います。尚、水換えが金魚の成長を速める・・・は事実ですが端折り過ぎ。水が動かない池でも金魚は大きくなります。水槽で頻繁に水を換えれば水質が維持され環境が悪化しない・餌食いよく寿命が伸びる・従って大きくなる(すくすくと成長する)ということです。
 病気の時に餌を切る、風邪ひいたらごはん抜きとか言われたらどうします?食欲が無いなら食欲を誘う餌を試行錯誤、余れば直ちにスポイトで排除・水質は水換え連続の力技で。病気の個体に必要なのは体力、アタリマエのことです。手を抜く口実にするな、と言うことですね。浮沈個体の場合も量の調節・餌の種類を変えるなどして体力を出来るだけ削がないよう心がけます。
 塩は鰓病症状を伴う疾患(原因生物問わず)に有効です。持ち込み型の原虫症は殆ど当てはまりますので、トリートメントタンクの横に人工海水を常備しておきましょう。目安として90センチ規格水槽なら1kg。但し、これ以外の疾患に大した効果はなく、逆に嫌気条件の発生や浸透圧の影響で悪化することがあるので要注意です。気付け薬にはなりません。また、水質の悪化を塩で補うことも出来ません。
 胞子虫症は気味の悪い症状(しかも治療不可・不治)を呈しますが、風土病なので病魚の隔離で収束する場合が多いです。白点病が恐ろしいのは金魚に単独で集ること、風土病は幾つかの中間宿主が必要なため、(特に固有種が含まれる場合)水槽内では生活環を維持出来ないのです。但し、病巣を直接食らった個体に発症する例があるため、病魚の隔離は早め早めに行います。
 追い回す・突くという行動には幾つかの理由が考えられます。導入当初・餌の時間やタイミング等、来る筈の餌が見つからない!とキレた個体が隣の個体を突く行動はよく見られます。これは餌の位置・時間外・飼育者以外の見分けなど、現状を認識するまで続きますから、慣れるまでイレギュラーな行動は控えます。餌の量が乏しいと相手を威嚇します。サイズの差が著しい個体を混泳させた場合、実は小さな個体が大きな個体を突く事も珍しくありません。張り合うのは同形態・同サイズのほうが一般的です。繁殖期の追尾行動であればオス個体に追星が生じています。状態の悪い個体を他の個体が襲うのは本当、調子を崩した個体は被災フェロモンを放出するのです。直ぐに引き離して治療を。
 上見と横見ではこれほど印象が異なる。上見ではゆったり、色調も濃い目。横見では騒がしく押し合いへし合い・色調も薄めに見える。
 改良の進んだ丸い連中はそうでもないのですが、ギベリオ型は基本物陰が大好きです。水槽の半分を暗くしておけば例外なくそちらに固まるほどで、餌を要求する姿に見慣れているとかなり意表を突かれます。
 金魚はよく慣れはしますが、猫や鳥の影にまで反応する以上・警戒心が足らず頭が良いとは言えません。
 金魚は錦鯉同様「うわあ〜」な感じこそ至高と言って良いかも。金魚は観賞魚としての歴史が長く、過密飼育そのもので調子を崩すことはありません(但し、狭い容器だけは駄目)。濾過槽の充実や水換えのタイミングなど、上手く捌いていけばより賑やかな水槽に仕上がります。

動画




外来型ウイルス性鰓病
 症状:第1段階:流れに向かい力無く泳ぐ(呼吸困難)、流される。粘液の異常分泌により飼育水が臭う。
    第2段階:粘液が白化し水底定位(しばしば水面に浮きっ放し。)。
    第3段階:発赤、これが悪化し糜爛。腹膨。
    第4段階:上記症状を見ることなく突然死。
 持ち込み型であり、キャリア個体(主に外国産)は目立った症状を見せません。対象は主に純国産繁殖個体です。
 対処方法は発症個体を直ちに隔離することです(但し以降の発症は抑えられるが、全ての個体が既感染であることに注意)。死亡するまで放置してはなりません(漏出する消化管内の汚物とともにウイルス蔓延)。尚、体内に侵入したウイルスの除去は出来ません。全ての薬剤は無効です。
 予防:サイフォンなどの器具は共有しない、やむを得ない場合は水道水で使用前後によく洗浄します。リセットの場合は水槽や器具の再利用の前には塩素(ハイター)・熱湯消毒等を行います。
 厳重注意:本疾患は同じコイ目魚種も標的です。南米由来魚種(特に現地WC個体ナマズ類)には致命的で、数滴分の水が混入すれば一呼吸もなく一気に蔓延します。カエルツボカビ症と似たイメージです。金魚と熱帯魚は混ぜない、心しましょう。

 「ヒデー目に遭ったわい」(管理人談)。
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