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最新の分類について

パーチ類管理法
(除ダトニオイデス)

 スズキ目Perciformesスズキ亜目Percoideiのアカメ科Centropomidaeに属する魚種を、パーチと呼ぶ(科としての英名はSnook)。通常釣り魚としての対象だが、我が国ではこれを飼育する人も多い。大食・強健であり、害魚と化す地域(アフリカなど)も見られる。幼魚期はヘッドスタンダーで、水草に擬態する。
 本グループは様々な通称名が交錯し、最も混乱しているものの一つで、学名による同定を心がけたい。

●種類


○アカメ Lates japonicus
 産地は四万十川が有名だが、分布域は広範に渡る。淡水魚として知られるが、棲息域は汽水〜沿岸部で、厳密には淡水魚ではない。幼魚期は非常に美しいが、大型になるにつれ銀魚に変貌する。自然環境下では100cmに達する。アカメとはその目が赤く輝くことから、その名がつけられた。色彩的にシーパーチとの差異はない。但し背鰭第3棘・臀鰭第2棘が最も強大なので、シーパーチとの区別は容易。
○シーパーチ Lates calcarifer
 以前はアカメの基本種とされた本種も、バラムンディの代表的な種として世界中に知られる。大洋で捕獲される個体には150cmという大物も有るが、通常40〜60cm程度にしかならない(特に家庭用水槽での飼育下では、怪物になることはない)。オセアニアに分布する個体群は、200cmにも達するという。そこの50cm以上の個体は雌に性転換をする。東南アジア産のものは、もっと小型のうちに性転換が見られる。アカメ同様淡水魚ではない。
○ナイルパーチ Lates niloticus
 我が国では食卓魚の白スズキとして知られる。色々好みも有ろうが、最も美しいパーチの一つ。グレートナイルパーチは分類学的には同種で、100cmを越えることから太公望には人気が有るが、色彩的にはナイルパーチに劣る。記録では180cmに達する個体も有るらしい。成長はやや早く、水槽サイズを無視する傾向が有る。淡水魚。
○クイーンナイルパーチ Lates microlepis
 ナイルパーチとはまた違った美しさが有る。やや小型で、100cmに届かない。淡水魚。アフリカ湖産。
○アカメモドキ Psammoperca waigiensis
 上記4種とは属が異なる。しかも英語名は本種がSeaperch。最大35cm程度。海水魚。南西諸島以南に分布する。

スズキ科Percidae
○イエローパーチ(パーチ) Perca fluviatilis
 欧米でパーチといえば本種。北米・欧州・ユーラシア大陸の冷水域に広く分布する。最大50cmに達するが、通常は30cmを越えるくらい。美しいがLates属とは全く異なる配色で、シクリッドに近い。但し成長すると、本種も銀魚と化す。淡水魚。

●飼育・管理
 待ち伏せ型な上、回遊性はなく、スペースはさほど必要としません。勿論あった方がよいですが。但しパワーは有るので、アクリル水槽が必要です。大食漢な割に成長速度は思ったよりも遅いので、幼魚を手に入れれば数年は90cm水槽で管理できます(最初から90を使用することをおすすめします。60cm水槽ではどうも成長が鈍るようです。また、60cm水槽はライトとの割合が明るすぎます。90cm水槽に30W1本程度が魚体も落ち着きます)。混泳は避けます。どうしてもさせたければ、120〜180cm水槽を用意し、体型の異なる魚種を選択します。
 汽水・海水棲の種は幼魚期でも半海水、最終的には80〜100%海水での飼育・管理が必要です。濾過材には珊瑚砂を用い、pH7.5以上を目標とします。シーパーチは熱帯性なので、クーラーは全く不要です。冬季の水温は25〜28℃に設定します。アカメはシーパーチよりは、水温を低めに保った方が無難です。特に夏季に息切れしない様、25℃を越えない様にしてやると効果的です。アカメの方は、シーパーチよりも水槽内でも大型になるので(展示水槽に居る個体を見ても)、最終的には180cm(もしくはそれ以上)水槽が必要でしょう。
 淡水性の種はアフリカ産で、高温に耐えます。25〜27℃を目標にすればよく、pHのみ7.5〜8.0と高めに設定します。こちらも濾過材は珊瑚砂を用い、pHと関係なく水を1/3〜1/2量交換します。無論適応範囲は非常に広いので、余り神経質にになる必要は有りません。汽水産の種よりは成長が早い様で、初めから90cm水槽を用意しましょう。水槽が狭くてもぐいぐい大きくなるので、最終的には180cm水槽を用意します。
 イエローパーチは冷水性な為、上限を15℃とします。水族館等では10℃前後にしているようです。従って、クーラーが無い場合は飼育できません。pHは7.5をキープします。Lates属よりも活発な上(しばしば突進します)、成長速度も速く、水槽の広さが必要となります(最終的には180×90位)。
 餌は選り好み無く、何でも食います。Lates属は量を食いますが、配合飼料等にはやや難色を示します。イエローパーチはお構い無しです。大食漢ですから、量をケチらないで下さい。量をケチると成長速度が更に落ち、なんだかぺらぺらで迫力が無くなります。肥満とは基本的に無縁なので、安心して給餌しましょう。
●病気
 海産の種を純淡水・低濃度海水で管理すると、水カビ・リンフォキスティス、白点病に罹ります。水カビは背鰭の棘条の先端や、胸鰭などに付着します。リンフォキスティスは各鰭に妙に大きい白点として現われ、白点病は全身にぱっと広がります。治療法は塩分濃度を上げるだけでよく、簡単に完治します。そしてその塩分濃度が、魚体が必要としている割合ですから、再び下げることは避けて下さい。
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