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最新の分類について

ヨウジウオとその近縁管理法
Squirrel Fish & Soldier Fish



 種類:ヨウジウオの仲間は、アクアリウム(大規模な水族館を含む)に興味のある人なら、その殆どのグループを知っている事でしょう。この内、飼育されるのは大型種(ヤガラ類)を除くウミテング・サギフエ・ヘコアユ・カミソリウオ・ヨウジウオ・タツノオトシゴ・パラドックスフィッシュです。
 サギフエ<Macrorhamphosus scolopax>は、本目中では最もオーソドックスな形態の種です。
 ヘコアユには数種が有り、ヘコアユ<Aeoliscus strigatus>・ホシヘコアユ<Aeoliscus punctatus>・ヨロイウオ<Centriscus scutatus>が混じってヘコアユと称されています。
 ヨウジウオには沢山の種が見られますが、シマヨウジ<Doryrhamphus dactyliophorus>以外の種は殆ど見られず、稀に汽水・淡水産の種(<Doryichthys martensii>・テングヨウジ<Microphis brachyurus>など)が淡水魚として輸入されます。常に番で生息する為、ペアで来る事が多く、飼育するならば是非番で購入して下さい。ペアを組むものは、引き離せば必ず早死にします。
 タツノオトシゴは最も人気のあるグループです。オオウミウマ<Hippocampus kuda>が一般的ですが、本種は唯一汽水域産のタツノオトシゴなので、純海水での飼育には向かないと思われます(黒色個体のみが汽水に入るという文献もある)。この他にはシードラゴンと呼ばれるナガレモタツ<Phycodurus eques>・ホンダワラタツ<Phyllopteryx taeniolatus>が、水族館行きをすり抜けて非常に稀にショップに並ぶ事が有ります。
 全長が3cmにも満たないパラドックスフィッシュ<Indostomus paradoxas>は、その名(paradox=矛盾した)からも解る通り、外見からは一体何の仲間なのかが分からない奇妙な種です。ビルマ(現ミャンマー)のインドウギ湖で発見され、現在ではヨウジウオ目に非常に近いパラドックスフィッシュ目をたて、そこに置かれています。淡水魚です。

 飼育・管理:本目魚種の飼育の最大の難点は餌の供給と、飼育環境・同居魚の選択の困難さに有ります。大型種にはグッピーの稚魚や、フルサイズに成長させたブラインシュリンプなどを与えますが、小型種には常にブラインシュリンプをわかし、孵化仕立ての個体を与える必要が有ります。特にヨウジウオ類には細かい餌が必要なので、飼育前に充分検討する必要が有るでしょう。無脊椎水槽に収容すれば大丈夫と考える向きも有るでしょうが、甘えた考えは捨てて下さい。そう思った時点で、貴方に本グループの飼育は出来ません。
 無論、餌を供給する事が出来るならば、無脊椎水槽は良いでしょう。海藻も有効なので、タンク内繁殖株(採集品は緑・紅藻共水槽内では枯れるだけです。たねの付いた珊瑚岩等から、水槽内で成長したものでなくてはなりません)をショップで探し、少量導入して増殖させます。タツノオトシゴに関しては、腕の長いイソギンチャクは入れてはいけません。掴まる場所は必須なので、体形に合った素材を選びます。数の入れ過ぎは互いに巻き合い、あっという間にストレスを溜めて全滅です(無能な水族館がよくやることです)。60cm水槽なら2〜3匹、90cm水槽でも10匹に達しては多すぎます。オオウミウマの水温は25±1〜2℃を目安にし、これ以外の種は水温を25℃に達しない様に注意します。
 同居魚は入れない方が無難です。精々マンダリンやコウワンテグリなどのネズッポ類や、大人しいノコギリベラ、すみわけ可能なクチバシカジカに留めましょう。
 パラドックスフィッシュに関しては、個体数が非常に少ない事も有り、飼育データは殆ど存在しません。数少ない記録によれば、矢張り細かな生物を捕食していたとの事です。水温は低め(24℃)に保ちます。まあ、これを読んでいる皆さんが飼育する機会は、一生無いと思われますが。

 繁殖:産仔まではよく聞かれますが、その後は全く音沙汰無しです。浮遊期を送る多くの海水魚の仔魚と異なり、本属の仔魚は自力で泳ぎ回れるサイズになってはいるのですが、親魚ですら餌の確保が困難であるのに、その仔魚ではどうしようも有りません。海辺に住む人であれば、毎日自然海水で水替えを行えば何とかなるのかもしれませんが、全く確信は持てません。
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