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最新の分類について

パクー管理法

 種類:パクーとは、セルラサルムス科の魚種中、ピラニア以外の種類の相称です。以降は「Jacques Gery : Characoids of the World」(t.f.h.)に従って話を進めます。
 
セルラサルムス科 Family Serrasalmidae
 ミレウス亜科 Sub Family MYLEINAE
  アクノドン属 Genus Acnodon
  コロッソマ属 Genus Colossoma
  メティンニス属 Genus Metynnis
  ミレシヌス属 Genus Mylesinus
  ミレウス属 Genus Myleus
  ミロッソマ属 Genus Mylossoma
  オッスブトゥス属 Genus Ossubtus
  ウティアリティクシス属 Genus Utiaritichthys

 我国に主に輸入されるのはコロッソマ属・メティンニス属・ミレウス属・ミロッソマ属で、外見からの判別が容易です。
 コロッソマ属:今更紹介する必要が無いほど有名ですが、これに手を出す人に限って不勉強且つ無計画な為、数多くの個体が無駄に消費されています。これは知名度の割に価格が低すぎるためで、飼育の困難な魚種は輸入制限をし、一個体の単価を吊り上げるくらいの措置が必要でしょう。原始的な形態とされ、尻鰭条数が30未満です。背鰭の条数もさほど多くありません。従って背鰭が背辺縁を占める割合は少ないです。解剖学的には背鰭の始めに棘が無く、下顎に6本以上の歯を有します。

 鰾の構造から2亜属に分けられます。コロッソマ亜属にはコロッソマ・ニグリピンニス(Colossoma nigripinnis)とコロッソマ・オクルス(Colossoma oculus)が有りますが、ニグリピンニス種はオクルス種の異学名とされます。  ピアラクトゥス亜属にはビデンス種(Colossoma bidens)、ブラキポムム種(Colossoma brachypomum)・マクロポムム種(Colossoma macropomum)の3種が立てられています。ミトレイ種(Colossoma mitrei)・カンテライ種(Colossoma canterai)はブラキポムム種の異学名にされています。
 オクルス種は背鰭条数が13〜16本、尻鰭条数が20〜24本で、幼魚には班が散り、成魚になると鰭が茶褐色になり、脂鰭に条が走ります。40cmになります。  ビデンス種は背鰭条数が12〜13本、尻鰭常数が21〜23本、鰓蓋に大きな班が付きます。成魚になっても脂鰭に条は走りません。
 ブラキポムム種は幼魚期には班が有り、鰭の端が黒く縁取られますが、成魚になると脂鰭に条が走り、全体が黒化・もしくは大理石模様を示します。60cmになります。
 マクロポムム種は頭部が伸長し、幅広くなります。
 
 メティンニス属:珍しく幼魚を余り見かけないグループです。我国ではミレウス属と名称が混同していますが、最大の特徴は脂鰭で、基部が非常に広く殆ど背鰭のものと同長です。15〜20cmになります。20種以上が有り、割と模様だけで区別が可能です。15cmになります。

 ミレウス属は背鰭条数が著しく多く、従って背鰭基底の背部辺縁を占める割合が非常に多いです。又、尻鰭の前半が伸長し、着色するのも特徴です。10〜15cmになります。

 ミロッソマ属は形そのものが歪です。背鰭は余り幅を取らず、その基底は尾柄に続くラインに同調しません。最大の特徴は尻鰭が丸いことで、ここからSilver-Dollar(銀貨)の愛称が付けられました。25cmになり、2種が有ります。
 アウレウム種(Mylossoma aureum)種は尻鰭常数が28〜34本、背鰭基底は脂鰭基底の4倍前後です。ヘルニアリウス種・ウニマクラタス種が異学名とされます。
 デュリヴェントレ種は尻鰭条数が37本、背鰭基底は脂鰭基底の3倍前後です。

 飼育・管理:コロッソマ属は動きはとろいものの、大型になる上突発的に暴れるので、大型のアクリル水槽が必要です。但しコロッソマ同士・もしくは他魚との混泳は思ったほど楽です。水槽は最低でも180cmは必要で、奥行き・高さ共90cmは取るべきです。大喰らいな為濾過槽は強力なものを用意し、それでも水質悪化は普通ではないため、毎週〜3日に一回は水替えを行います。水質は選びませんから、中性を保つ気持ちで良いでしょう。
 メティンニス属・ミレウス属・ミロッソマ属は何れも活発なため、120cm規格水槽に群泳と言うのが映えます。非常に活動的且つ無神経なため、他種との混泳は向きません。口に当たったものは取り敢えず噛む癖が有るためで、歯を持つため魚体から水草までぼろぼろにしてしまいます。混泳させるなら同サイズのカラシン(レポリナスやナローハチェット、プロキロドゥス等)をお勧めします。カショーロ類やトーピードパイク等は神経質なため、逆にやられてしまいます。アマゾンを表現するのにどうしても水草を合わせたい場合は、魚の水槽の後ろに水草水槽を設置し、魚側の水槽の照明を暗め(もしくは上部濾過槽を前方に持ってくる)にし、水草水槽に煌煌と明かりを当ててやると良いでしょう。水流は欲しがります。モーターは強力なものを使用します。
 ピラニアと比較されるため、藻食性の方が強調されますが、何でも食う雑食性です。幼魚期は肉食性が強く、成魚になると藻食性が強くなります。配合飼料が最も手軽で良いでしょう。成魚に野菜はメニューに必須です。白菜・小松菜等の葉っぱものが水を汚しません。海外のフィルムではコロッソマが、水面に落下した果実を食うシーンが写っています。果物は水を汚すでしょうから、煮た根菜類やブロッコリーを与えます。
 苔取りにプレコを入れるのは構いませんが、セルフィンプレコのように鰭の大きな種類はぼろぼろにされる恐れが有ります。サタンプレコなどが良いでしょう。植物質の残餌を、取り除かせるのにも有効です。

 病気:殆ど罹りませんが、稀に皮膚(鱗)の下にぷつぷつと腫瘍が出来ることが有ります。これはセルラサルムス科魚種特有のもので、ピラニアにも良く見られます。これで死亡することはないようですが、非常に見苦しくなります。水質の悪化(それによるストレス)が原因と見られます。水質改善で進行は停まりますが、それが消滅することはまず有りません。治療ではなく予防、これが最も重要です。
 怪我は日常茶飯事ですが、治癒能力は高いので問題ありません。但し、水質が悪化していたら話しは別です。
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