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古代魚と呼ばれるもの管理法

(エイ・サメ・チョウザメは独立したページにあります)

肺魚管理法
(05/24/'98)

ポリプテルス管理法
(05/24/'98)

ガーパイク管理法
(06/16/'98)

アロワナ・ナイフフィッシュ管理法(ピラルクは一般家庭では管理出来ません)
(06/18/'98)

モルミルス・ギムナルクス管理法
(06/26/'98)

ギャラクシアス管理法
(06/26/'98)



肺魚管理法

 種類:肺魚の現存種はアフリカ大陸に4種、豪・南米大陸に各1種づつの計6種が居り、豪州産の1種を除き残り5種が、繁殖個体として輸入されてきます。
 飼育・管理:大型になりますが、運動量は要求しない上よく身体が曲がるので、さほど広い水槽は必要としません。amphibius種・dolloi種なら90cm水槽、annectens種・paradoxa種は120cm水槽、aethiopicus種は180cm水槽(稀に化物化する個体が居り、そうした個体には240cmクラスが必要になるでしょう。給餌制限でコントロールする必要も出てきます)でいずれも規格サイズで充分です。但しパワーが有るため、必ず厚みのあるアクリル水槽を用意し、脱走を防ぐため蓋に重しを乗せておかなくてはなりません。濾過槽は大きいに越した事は有りませんが、成魚になると肺呼吸に移行するため、溶存酸素量などは考えなくて良く、飼育水は飲み水として適するように管理します。飲み水は奇麗なほど良いのですから、水替えを頻繁にし、糞が大きくばらけて水を汚し易いので、見つけ次第掬い取るようにします。amphibius種のみかなりの部分鰓呼吸に頼る上、肌が弱いためより水質を良好に保つ努力が必要です。これは各種の稚魚も同様で、外鰓の見られる販売サイズの個体は水を清涼に・溶存酸素量を保つ飼育を行わなくてはなりません。給餌は日に一回で良いでしょう。余り与えると運動不足から肥満化し、全く精彩を欠く姿になってしまいます。水槽内に丸太が転がっていても、面白くも何とも無いでしょう。
 :殆ど犬のように何でも食います。成長を遅くさせるには配合飼料単用が良いでしょう。外鰓のある稚魚に関しては早く大きくしないと管理が面倒なので、小さ目の糸ミミズなどを拾い集めて与えます。この場合赤虫は一回り大きくなってからにします。鰓を持っているからといって、水深を与えてはいけません。徐々に肺呼吸に移行するため、水圧が有りすぎると障害の出る可能性が有ります。産卵箱等なら水草などを入れ、好きな位置に行けるようにしてやります。成体は全長の半分くらいの水深が良いでしょう。餌は噛み潰すため、金魚などを与えていると、水替えをより頻繁に行わなくてはなりません。
 よく科学誌などに出てくる夏眠ですが、これを行わせる必要は有りません。泥を敷き、水を抜いていけば行動は起こしますが、種類によっては自然環境下でもこれを行いませんし、annectens種などは繭の中で死んでしまう事も有るようですから、一般的にはやってはいけない事に含まれます。
 肺魚の管理で気を付けなくてはならない事は、彼らの顎が非常に強力であるという事です。ひょろひょろのdolloi種といえども、成体に噛まれると食い千切ってこようとするため、肉を割られて出血が止まりません。特に捕獲しようとすると逆襲してくるため、厚手のビニール袋などを四重位に重ねて追い込むなどの手段をとります。苔落しなどする分には近寄ってはきませんが、aethiopicus種に関してはその限りでは有りません。100cmを超える個体の顎は刃付きの万力のようなものなので、あなた自身は勿論、家族の方にも十分注意する必要があります。
 混泳:混泳は出来ません。肺魚同志では闘争するものが多く、余り大喧嘩をしないまでも相手の脚を食い千切る事は日常茶飯事です。他魚は攻撃対象になる場合が殆どですが、大人しいdolloi種などは脚をダトニオイデスに食われたり、エイに肉を剥ぎ取られたりと散々な目に合いますし、第一一般魚の水深は肺魚には深すぎます。単独飼育が無難ですし、事故が起こるのを待つ必要も無いでしょう。
 心構え:肺魚は通常の管理をしていれば死にません。病気知らずですし、大型になる上長寿です。餌のとき以外はじっとしている事が多く、行動を起こすときはモーターを水没させたり、蓋をぶっ飛ばして室内で暴れまわったりといったトラブルが殆どです。
 私がショップにいたとき、肺魚について最もよく耳にする感想が'飽きる'というものでした。混泳も出来ない・動かない・大喰らい・奇麗でもない、肺魚そのものに本当に惚れ込まない限り、残念な結末は見えています。しかも肺魚に関しては、大型の個体になれば九割のショップ(引き取り可のところですよ)が引き取りを拒否します。ネームバリューだけで安易に手を出すのは、是非待ってもらいたいと思います。


ポリプテルス管理法

 ポリプテルスとは:Polypteriformesに属するアフリカにのみ分布する文字通りの古代魚です。2属があり、メインのPolypterus属10種と、1属1種のErpetoichthys属(有名な異学名Calamoichthysは商品名です)があります。三角の背鰭が幾つも連なっているところから、多鰭魚類(学名のpoly=沢山、pterus=鰭に由来)ともいわれます。Polypterus属とErpetoichthys属の違いは腹鰭の有無です。空気呼吸を行いますが、空気中では長く生きる事が出来ません。肺魚とは縁遠く、勿論夏眠も出来ません。全身をガノインというエナメル様の物質で覆われており、ここら辺りはガーパイクと共通点が有ります。
 飼育・管理:空気呼吸をする為、流れは好みません。緩やかな流れの濾過を行わせます。水は中性を保てばよく、難しいところは有りません。水槽容積のみ間違わなければ、ですが。
 Erpetoichthysは90a水槽で数頭飼えます(60センチ水槽では常に体を曲げる為ストレスを溜める)。貪欲ですが、口が小さい為に餌採りに負け気味です。このタイプは痩せても気がつき難いので、水槽は本属中心に考えます。Polypterusとの混泳は不可(理由は後程)。
 Polypterus小型種は90a水槽以上で管理します。水槽が狭いと性質上他の個体を噛む為、いつも騒々しい状態が続いてしまいます。小型種は上層にも頻繁に訪れます(勿論空気呼吸の為も有ります)。餌は浮くもので構いません。人に非常に馴れる為、健康チェックなども容易です。養殖個体が出回っており、その点も安心して飼えます。
 Polypteus中型種は120×60aほどの水槽で管理します。人に馴れ難い種がそろっている為、狭いと一寸した事でパニックに陥ってしまう為です。このサイズでしたら小型種との混泳も構いません。
 Polypterus大型種は180a以上の水槽でなければなりません。必要以上に水面に浮き上がってこない為、餌は沈むものを与えます。小・中型種との混泳も避けます。水流もある程度与えたほうがよいようです。人を見てはいますが、余り好んで近寄ろうとはしません。
 :何でも食います。腹を見ながら給餌し、肥満になる手前ほどでセーブします。少量ずつ与えると強い個体のみが独占しますから、日に1回でよいのでざーっと撒くように与えます。
 混泳:餌採りが遅い為、がばがば餌を貪るような種は避けます。プレコも大型のものはPolypterusを襲いますし、逆に小型のものは食ってしまいます(特にロリカリ科の細長いタイプ)。空気呼吸をするので、アロワナなどの水面を陣取るタイプのものは相性がよくありません。
 病気:ガノインに覆われている為、滅多な事では寄生される事は有りません。但し唯一の例外が碇虫様の単生類です。目を凝らすとふわふわした糸屑が、全身にまとわりつくものです。水が汚染するなど、魚体がストレスを感じると発生します。直ちに死亡するなどの致命的なものでは有りませんが、放っておけば大変です。はじめは種をショップから持ち込んでしまうのですが、その後はキーパーの怠慢から起こるものです。ちゃんと水・底砂等を清潔に保ちましょう。さて、Polypterus属とErpetoichthys属を混泳させてはいけない理由がこれです。両者の混泳はErpetoichthys側に大変なストレスを与えます。これが眠っていた単生類を呼び覚まし、Polypterusよりも単生類に弱いErpetoichthysを死に追いやるのです。そうそう、本目魚種に薬品を投与してはいけません。中でも駆虫薬は、通常の白点病薬などとは比較にならない程強い為、いちころです。常に種は水槽内に居るものと考え、これを活発化させない管理を心がけて下さい。
 後は怪我をした際(怪我そのものもし難いのですが)、水質が悪いと雑菌が入って化膿する事が有ります。強靭なガノインに守られている事が災いし、この皮膚下を病巣が相当速い速度で広がる為に手の打ちようも無く死亡します。傷口が赤みがかっていたら、薬品に弱い事には目を瞑って傷口に抗生物質を塗り込みます。他魚の薬害を防ぐ為、病魚の隔離は必ず行って下さい。


ガーパイク管理法

 種類:ガーパイクは北・中米にかけて2属(AtractosterusLepisosteus)7種が分布しており、その殆どが我が国に導入されています。特に北米産の5種のものは、ショップで普通に見ることが出来ます。それでもガーパイク目は白亜紀に登場したもので、ポリプテルス目・チョウザメ目・アミア目に近縁の紛れも無い古代魚で、分類学的には非常に貴重なグループなのです。
 ショートノーズガーとスポッテドガーは体型的には良く似ており、判別は頭部の斑紋によります。交雑個体も確認されており、新大陸ならではの分化を経ている真っ最中と言えるでしょう。サイズはスポッテドガーの方が大きくなり、1メートルを超えますが、ショートノーズガーは1メートルを超えることは有りません。分布域も重なっていますが、どちらかと言えばショートノーズガーの方が北寄りと言えるでしょう。
 フロリダガーは殆どスポッテドガーの分身のようなもので、鑑別は尾鰭の菱形がはっきりしている所です。但し分布域がフロリダ半島に限局する為、飼育には高い保温を必要とします。
 ロングノーズガーは名の通りガビアルのような嘴が特長で、見誤ることは有りません。猛烈に広範囲な分布域を示し、それだけ適応能力が高いと言えます。2メートル近くになりますが、細身の体型ゆえ重量感は感じられません。
 アリゲーターガーはその特長的な横顔も特長的なのですが、上から頭部を見るとまさにクロコダイルそのものです。言われているほど温かいのが好きなわけではなく、他のガーパイクと同様の分布域と考えて良いものです(勿論やや狭い目ですが)。体長は3メートルに達します。
 他の2種ですが、マンファリはキューバに限局分布する唯一のガーで、生息場所も汽水域から島の沿岸部と特殊なものです。一時アリゲーターガーと混同されたトロピカルガーは、本目中最南端に分布域を持つもので、これには高い温度を与えてやらなくてはなりません。
 飼育管理:ガーは非行動的で大人しい為、極端に広い水槽は必要ありません。但し個体のサイズがサイズですから、自由に反転できるだけのスペースは欲しいものです。180×60cm以上有れば、ガー小型種の管理は容易でしょうし、奥行きを90cm取ればロングノーズガーまで大丈夫です(水槽内で2メートルに達することは有りません)。問題はアリゲーターガーで、実際に飼育してみると、成長速度の速さには恐ろしささえ感じます。ボリュームも他のガーとは比べ物になりません。成長制限をするにしても、水槽での飼育には限界が有ります。暖地では庭に池をこさえ、簡易温室で池を覆いじっくり育てる必要が有るでしょう。
 忘れがちなのがガーは空気呼吸をすると言うことで、このための空気スペースを水替えの際に確保してやる必要が有ります。別に嘴を突き出すわけではないので、大型個体でも10pも有れば良いでしょう。
 ガーは大喰らいなので、生餌から配合飼料まで、様々なメニューを与えると良いでしょう。選り好みはしません。因って濾過システムは大型のものを用いた上、水替えはザンザンやって下さい。半量交換でしたら、中和剤も不要です。温度のみ合わせて下さい。水を替えないことが最も悪い管理法です。
 病気:病気には罹りません。これが病気になる水槽は、家の中においておけない程、こ汚い水槽だと思われます。只、怪我からガノイン層の内側に雑菌が浸入することが有り、そうなると何をしても助かりません。塩・薬品には古代魚としては割と抵抗力が有るので、飛び出しなどで怪我を発見したら、規定の半量程度に薄めた液に漬けて消毒してやりましょう。
 混泳:最大の問題はこれです。アロワナから大型プレコまで、ありとあらゆる魚種に虐められるガーですが、それで直接死に至ることが無い為、そのままにされがちです。アロワナは犬で、ガーは羊と考えると分かり易いかもしれません。しかしガーの魅力はあの斑紋や光沢で、これはのびのび育っていないと全く見ることが出来ません。是非ガーのみで飼育してやって下さい。


アロワナ・ナイフフィッシュ管理法(ピラルクは一般家庭では管理不可能です)

 種類:オステオグロッサム目中、アロワナ・ナイフフィッシュとして扱われるのは、アジアアロワナ・ノーザンバラムンディ・スポッテドバラムンディ・シルバーアロワナ・ブラックアロワナ・ナイルアロワナ・バタフライフィッシュ・スポッテドナイフ・ロイヤルナイフ・インディアンナイフ・アフリカンナイフ・アロワナナイフの12種類です。ここではこの12種類全てについての管理法を説明します。
 先ずアロワナですが、旧大陸・オセアニア地区に分布するのは3種類です。
 アジアアロワナはその格付け(ワシントン条約)から、鑑賞魚に興味の無い人でも知っているという知名度の高い種です。本グループ中で最も高価なのは言うまでも有りませんが、そのため魚としての興味から外れ、自己顕示の道具にされたり投機の対象になったりと、非常に残念な現象が長く続きました。
 オセアニアのアロワナは我が国でバラムンディと呼ばれ、養殖が可能になってからは、随分と沢山の個体が輸入されてきました。ノーザンバラムンディは全身が黄金色に輝く特級品呼べる種です。スポッテドバラムンディは、派手さではノーザンバラムンディに一歩譲る所が有りますが、その魚雷のような体型は、多くの古代魚ファンを魅了してきました。ある意味本グループ中、最後まで”幻の”種類であったような気がします。お金を出せば手に入るアジアアロワナの仔魚に比べ、さほど高くはないものの余り流通が無かったためです。
 南米産アロワナは2種が有り、アロワナの代名詞にもなっています。
 シルバーアロワナは余りに安価な為、随分と酷い扱いを受けている個体を数多く見かけます。このシルバーアロワナを美しく育てている人が、いったい何割この世界に居るのでしょうか。シルバーアロワナの状態を見れば、その飼い主の魚に対する態度が手に取るように分かります。
 ブラックアロワナは、価格がシルバーアロワナとそう変わらないものの、扱い難さから、また成長が遅く、大型にならないことから割と扱いが良いようです。
 バタフライフィッシュは、一般的なサイズの水槽内で終生管理出来る、唯一の"アロワナ"です。勿論縁はさほど近くないものの、そのいでたちは正にアロワナそのものです。繁殖も狙えるので、本グループ中アクアリウム向きといえるでしょう。
 ナイルアロワナは学名のヘテロティスとして、稀にショップで見かけることと思います。とてもアロワナと見れない為ですが、理由はこれだけでなく、他のアロワナをグライダーとすると、本種はブルドーザーとも言えるほどパワフルで行動的なため、とてもアロワナとは呼べない為です(実際に分類学上でも縁遠い)。ところが長期飼育を行っている人は意外なほど居ません。理由は後述。
 ナイフフィッシュはアジアには3種が有りますが、我が国では内大型種の2種が流通しています。
 最も安価なスポッテドナイフは、現地では重要な食用魚となっています。スポットがイレギュラーに入る為、見方を変えれば相当マニアックに楽しめると思うのですが。以前全身に縞模様のある仔魚が大量に輸入され、「新種か?」などと騒がれたものの、成長したらスポッテドナイフになってしまったという笑い話が有りました。スポッテドナイフは生涯変化し続ける楽しい魚です。一度大事に飼育してみませんか。
 ロイヤルナイフは美しさでは絶品で、これを手がけると色付きの魚種など、どうでも良くなってしまうほどです。体色の銀色は、丁度半田鏝で溶かした半田の色、といったら御分かり頂けるでしょうか。幼魚のうちはたいしたことが無いので、成長した個体を水族館等に見に行ったり、美しい写真を見るなどして認識を新たにして下さい。
 アフリカのナイフフィッシュは、2種とも色彩が地味な上、性格が悪く、余り流通していません。
 アフリカンナイフは非常に小型の魚種で、目玉のくりくりした感じが印象的です。背鰭を欠く所も愛敬です。
 アロワナナイフは大型になりますが、成長は遅く、若いうちには目立つ模様も成長すると消えてしまいます。頭部の大きさは異様なほどで、赤い目玉もその性質を表しているようです。
 飼育管理:アロワナ類は大型になる為、水槽は広くします。また、跳ねるなどの衝撃が加わる為、ガラス水槽は避け、蓋を含む材質は全てアクリルとします。旧大陸・オセアニア産種は体が硬く、擦れると大事な鱗が剥げ(非常に鱗が大きい為、一枚剥げると非常に目立つ)、見苦しくなる為最も注意しなくてはなりません。アジアアロワナ・ノーザンバラムンディでは150〜180×75〜90cm、スポッテドバラムンディでは180×90cm以上が理想的です。120cmでも管理は可能ですが、非常に暴れ易くなる上、鰓捲れの発生率が非常に高くなります。南米産種は非常に柔軟なので、サイズに比較して旧大陸産種よりも融通が利きます。だからといっても、水槽は広いに越したことは有りません。シルバーアロワナは180cm有れば十分です。但し複数入れるならば、より広い水槽が必要です。ブラックアロワナは終生120cm水槽で管理できます。バタフライフィッシュは単独なら45cmから可能で、複数ならば90cm水槽を用意します。バタフライフィッシュはアロワナよりも争う頻度が多い為、それだけの余裕が必要となるのです。ヘテロティスは取り敢えずサイズが120cmあれば良く、見ていて狭そうだなと思ったら、サイズを引き上げるくらいで大丈夫です。
 ナイフフィッシュは全種身体がが柔軟な上、アロワナほど行動的でない為、より小さなサイズで管理出来ます。但しこちらも時々跳ねる為、アクリル水槽を用意します。大型のアジア産種は120cm規格サイズがベストです。但し混泳させるなら、サイズはより大きくしましょう。アロワナナイフは当分の間60cm水槽で管理でき、余程大きくなったら90cm水槽に移してやりましょう。アフリカンナイフは60cm水槽以上のサイズは要りません。何れの種も空気呼吸を行うので、水面と蓋の差を10cmは取らなくてはなりません。高さを押さえた水槽は使用せず、通常の水槽の高さを確保します。
 大型種の濾過装置には上部濾過装置を用意し、大型水槽には更にもう一つ追加すると良いでしょう。上部濾過装置はワイド式を用います。これは濾過能力を充実させるのと同時に、重し付きの蓋の変わりをさせる為でも有ります。濾過材は石系7割・大粒珊瑚砂3割にします。水替えは毎週行います。中・小型種には通常濾過槽は上部単用で全く構いませんが、バタフライフィッシュのみ流れを作らない様にします。驚くほど疲れ易い上、空気を吸えなければ溺死してしまうからです。  レイアウトは、大型種には不要です。逆に凶器となる可能性が有る為、流木・大きな岩などは水槽内に配置しないことです。底砂は使用しなくとも構いませんが、ヘテロティスのみ細かな砂を敷きます。ヘテロティスは砂を口で濾過するので、大粒の大礒砂はアクリル表面を傷付けたり、ガラスを割ったりする為です。だからといって砂を敷かないと、明らかにノイローゼのような行動を見せます。砂は必ず、そして厚めに敷いて下さい。川砂や硅砂パウダー、良く洗浄した海砂を使います。このため、濾過槽に細かな砂が吸い込まれるのを防ぐ為、ストレーナーの位置は高めに設定して下さい。
 餌:金魚は駄目です。目垂れの原因となる上、栄養価も低く、寄生虫の心配も有ります。全ての種が配合飼料に餌付き、全く問題なく育てられます。クリルのみ避けます。栄養が偏る上、偏食になるからです。仔魚・幼魚には赤虫と、崩した大型魚用ペレットを半々に与えます。給餌回数は最低3〜4回は与えます。特に(ブラック)アロワナの稚魚はここでの餌やりが、生存率に確実に跳ね返ってきます。20cmを超えたら、日に1回でも良いでしょう。
 混泳:旧大陸・オセアニア産種は同種・異種とも混泳は不可です。これに対し、南米産種は大人しく、割と混泳向きです。よく言われるアロワナ同士の闘争ですが、稚魚・若魚期は実際相当やりあいます。大型になるのですから、相当大きな水槽を導入する予定が無ければ、アロワナは1個体で管理します。アロワナ以外の魚種については余り考える必要は有りませんが、トラブルの例は割と有ります。先ずアロワナが虐める場合、空気呼吸を行う大人しい魚種がターゲットになります。ガーパイク・ポリプテルス・カイヤンなどは、空気を吸いに上がる頻度が極端に落ちる為、相当ストレスを溜めることになるようです。逆にアロワナを虐める魚種としてはダトニオイデス・ナイフフィッシュ・大型のシクリッドが有ります。キーパーが見ている前ではまずやりませんが、兆候は直ぐに察知できます。アロワナの横っ腹の鱗が剥げる、ヒゲが千切れる、背鰭・尾鰭がぼろぼろになる等の現象が現れたら要注意です。バタフライフィッシュは動きが鈍い為、プンティウス・カラシンなどにアンテナを食い切られる事故が起きます。底を這うコリドラス・ローチなどが良い混泳相手です。ヘテロティスは混泳不可です。旧大陸産ナイフフィッシュは最も混泳に向きます。但しダトニオイデスとの相性は相当悪く、狭い水槽での同形同士の混泳も闘争の的です。アフリカ産ナイフフィッシュは非常に性格が悪い為、同種・異種とも混泳下では長続きしません。あの底意地の悪いモノダクティルス・セバエが、たった半分の質量のアロワナナイフ2匹に虐め殺されるという信じられない例も有ります。アフリカンナイフも、気に入らない相手を付け狙い、噛み付く行動を非常にしつこく見せます。そして両種とも同種同士の混泳は困難ですし、アフリカンナイフとアロワナナイフを混泳させると、100%アフリカンナイフが殺されてしまいます。
 病気:病気には余りなりませんが、事故はよく起こります。飛び出しが最も多く、特にブラックアロワナはあらゆる隙間から脱出を試みます。蓋の隙間(縦方向だけでなく、横の隙間にも注意)・モーター室・濾過槽の排水口などに十分注意する必要が有ります。大型個体になると蓋を跳ね飛ばしますから、蓋はアクリル版を二重にして上に重石を載せ、蓋が割れるのと魚体が傷付くのを防ぎます。
 背折れは狭い水槽でよく起き、クリルのみ与えているような場合には更に多発します。シルバーアロワナを90cm水槽に押し込めていると、確実に発生するようです。勿論、治すことは出来ません。予防有るのみです。
 目垂れは前に述べた通り、餌に金魚を与えているとたちまち出てきます。特に利き目が落ちる為、片側のみの発生がよくあります。決して活き魚・沈む餌を与えては行けません。特にシルバーアロワナで多く見られます。水質が悪いことも影響すると思われるので、水替えを手抜きしては行けません。
 鰓捲れは狭い水槽で発生し、水質には無関係です。非常に見苦しくなる為、これを防ぐには広い水槽に、早いうちから移してやるしかありません。
 こうしてみると、全てが飼育者の管理ミスによることが分かります。アロワナ・ナイフフィッシュに障害が出たということは、自分が飼育資格無しであると、高らかに宣伝しているようなものです。恥ずかしいのでこうした状況に陥らない様、常に注意するようにしましょう。


モルミルス・ギムナルクス管理法


 種類:ここで各種の説明を行うには、余りにもスペースが足りない為、飼育本意での大まかなグループ分けを行ってみます。
 先ず小判型。イシドリなどの鼻無し・寸詰まりタイプで、現地では多くが群れで活動するものです。のっぺりした感じですが、それでいて味のある魅力的なグループです。
 ロングノーズ・タイプ。最もモルミルスとしての特長を表した奇抜なグループで、高価な種が多く含まれています。ロングノーズとして数種が輸入されるほか、ドンキーフェイスやダブルトランクなど、古くからよくしられています。
 エレファントノーズは、ショップでも非常によく見かける種です。取り敢えずこれだけで扱う必要が有るほど、浸透しているといって良いでしょう。
 魚雷型。鼻は欠く上、体色もくすんだものが多く、マニア向きです。性質は最悪。
 ドルフィン型。多くが湖産の活発なモルミルスで、泳ぎを楽しむのならばこれに尽きます。本科中最も陽性といえるでしょう。
 ギムナルクス。幼魚は相当可愛いのですけどね。
 飼育管理:湖産種を除き、特殊な水質は必要ありません。湖産種も、通常の飼育でしたら、常に中性を保つ程度で充分です。しかし彼らに必要なのは、混泳を避けるという飼育者にとっては残酷な事なのです。最も避けるべきは同種・及び発電魚で、磁場を乱す相手には徹底して攻撃を仕掛け、どちらかが傷だらけになり、餌も取れずにぺらぺらになるまで戦いは続きます。他の発電魚とはズバリ電気ウナギ科魚種(ブラックゴースト、カラポ、モトルドナイフ、グラスナイフ、グリーンナイフなどの南米産ナイフフィッシュです)で、混泳させてしまったら最後、もう二度と飼育しようという気すら起きなくなることでしょう。あの柔らかそうな口器を見ていると、ダメージを与えられそうに無いような錯覚を起こします。しかし忘れてはならないことは、彼らがオステオグロッサムの一員ということです。オステオグロッサムの特長の一つに、舌に歯が並ぶというものが有ります。そうです、彼らには相手をがりがりと齧る歯が存在するのです。信じられないでしょうが、良く馴れた手乗りエレファントノーズは、飼育者が手を入れると寄ってきて指先をカリカリ齧ります。これが痛いの何のって、余り調子に乗って齧らせ続けると、後でひりひりしてたまらないほどなのです。ホンソメワケベラのアタックも、彼らの舐め付きに比べれば可愛いものです。ですから本科同士の混泳も絶対に避けねばなりません。そして魚雷型に至っては、そのすさまじい顎の破壊力で、中型カラシンの総排泄口を抉り取るなど朝飯前です。モルミルスは単独飼育・を心がけて下さい。但し、あるグループに関しては、混泳も考えられますので、後述の混泳の項を参照して下さい。南米産ナイフとは決して混ぜないで下さい。モトルドナイフは一方的に やられてしまいますし、逆にブラックゴーストやカラポは、相当こっぴどくモルミルスを痛めつけますから。
 単独飼育でも60cm水槽は欲しい所です。泳ぎ回るスペースが必要なのと、大きなシェルターを入れる必要が有る為です。シェルターを入れないと、常に水槽の片隅で体を倒して震えている為、見た目も惨めですし恐らくはストレスを溜めている為、短命に終わることでしょう。アクセサリーとしての土管など、前後の口が開いたシェルターを入れてやります。どうせ夜間にしか活動しない為(エレファントノーズは、馴れると昼間も騒いでくれます。ドルフィンタイプも同じ)、底砂は要りません。敷くならば吻端を突っ込めるような細かい砂が良く、大礒砂は感染症を引き起こす可能性が有る為避けます。流れはないよりも有った方が良く、特に小判型はこれを好みます。フィルターは投げ込み式・外部式でなく、上部式がベストです。
 餌:赤虫が一般的ですが、消化が悪く、特に小判型・ロングノーズタイプには不向きです。冷凍のブラインシュリンプと、配合飼料の組み合わせがベストです。配合飼料には良く餌付くので、口に入るサイズのものを選んでくるか、大きなペレットを崩して与えます。魚雷型は何でもOKで、赤虫単用にも耐えますが、配合飼料を併用するのが長期飼育の秘訣です。
 混泳:小判型はそれでも混泳に向きます。アフリカ色を出す為に中型カラシン(大き目のコンゴーテトラなど)・ロープフィッシュ・バタフライフィッシュ・小型シノドンティス(サカサナマズやコントラクトゥス、アルベルティ)などが良いでしょう。水槽が90cm以上の広さが有れば、同種同士複数飼育も出来ないことは有りません。ポリプテルスは食う場合が有る為、避けた方が無難です。アフリカのシクリッドとの混泳は駄目です。ロングノーズ型も大体同様の組み合わせが可能ですが、中には喧嘩好きの個体もおり、ロープフィッシュにアタックを仕掛けることも有ります。注意してみて下さい。同種同士の混泳は絶対駄目です。エレファントノーズは、良くショップなどで複数管理されていますが、これを2〜3個体だけ連れてくると散々な目に合います。面白そうでも単独で管理します。別種との混泳は小判型・ロングノーズタイプに準じますが、より強い攻撃能力を持つ為、鰭の柔らかい魚種は避けます。魚雷型の混泳は絶対出来ません。非常に性質が陰湿で、夜間に暴れまわり他魚を虫食みます。単独での飼育を心がけます。
 ギムナルクスの管理:まずギムナルクスは怪物である、ということを認識して下さい。幼魚のうちは可愛く、やや弱い面が有る為、ショップの中にも、購入者に注意を怠る向きが有りますが、成長すれば1mを越える上、強力な顎の噛み癖が悪く、水槽内に器具を投入しておくことすら出来ません。大型個体の管理は、空調で水温を一定にするなどの処置が必要になります。但し成長制限は可能で、生餌を一切与えずに配合飼料のみにすると、相当長い期間押さえておくことが出来ます。
 混泳は一切不可能です。幼魚のうちはベタにさえ一撃で殺されてしまいますが、20cmを超える頃には本領を発揮し始め、砂の中に隠れているナマズまで引きずり出して、痛め付けるようになります。人には馴れるというよりも、人をも恐れずといった感じで、大型の個体に噛まれれば爪が割れること必至です。扱いは肺魚と同様で、彼らよりも行動的な分注意する必要が有ります。


ギャラクシアス管理法


 種類:ギャラクシアスは我が国では馴染み無く、見たことのある人も余り無いグループですが、原産地である豪州・NZでは水族館などでもよく知られた種が見られます。はじめてみると一体何の仲間なのかと思われる特長の無さですが、実は何とサケ・マスの仲間なのです。言われてみればパーマークを持つサケ・マスの幼魚そっくりですよね。現在ギャラクシアスは、異論は有るものの4属が主に使用されています。
 Galaxias属は背鰭・尻鰭の開始が同位置で、背鰭の幅は尻鰭と同じくらいかより小さく、尾鰭はやや湾入します。殆どがマスやアユ、キュウリウオのような姿をしていますが、ゴールデンギャラクシアスやストライプギャラクシアスのように非常に美しい種も有り、水族館では人気が有るようです。又、ホンコンプレコのように岩などに吸い付くクリンビンギャラクシアスなど、奇妙な生態のものも見られます。
 Paragalaxias属は背鰭の始まりが腹鰭と同位置で、尻鰭に比較し、背鰭は非常に大きいグループです。殆どの種がマーブル模様で、しかも藻食性という特異な性質が目立ちます。
 Galaxiella属は見かけはGalaxias属と全く変わりませんが、各鰭の条数が少ないのが特長です。レインボーフィッシュのハーディヘッドのような印象で、最も水槽で飼育するのに向く(と思われる)グループです。
 Lepidogalaxias属は、南半球の淡水魚中もっとも異様なものでしょう。唯一Lepidogalaxias salamandroides1種のみが有り、形態はミミズ様、頭部は非常に小さく、各鰭の始まりは重なりません。細かく光る鱗を持ち、尾鰭は二股になりません。本種は何と肺魚のように泥中で夏眠をすること、そして首があることがもはや常軌を逸しています。見間違いかもしれませんが、英名Salamandrafishはここから来ているのではないでしょうか。
 飼育管理:水流は必須です。泳ぎ回りますので、5〜12cmという小型種ばかりとはいえ、最低でも90cm水槽を用意し、エルボーにて強い水流を創ってやります。水草レイアウトは不要で、丸い石を転がす程度で良いでしょう。
 全てのサケ科魚種がそうであるように、本グループも低温性です。クーラーは必需品で、夏季は人がいると寒いくらいの気温でないと、とても飼育は出来ません。通常は18℃、高くとも20℃以下に押さえますが、Lepidogalaxias属は15℃を超えないようにします。pHは中性を基本にしますが、Lepidogalaxias属はpH4〜6と、非常に低く押さえなくてはなりません(アフリカ産卵目と同様の環境設定です)。餌は動物質を中心に、配合飼料を混ぜて与えますが、Paragalaxias属は藻食性ですから、そうした餌を用意してやらなくてはなりません(プレコと同様と考えて良いでしょう)。Galaxias brevipinnisも同様です。
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