←←←(メインページへ)
(Q&Aインデックスへ)

第1倉庫
(Q10〜Q01)



Q10:(08/31/'98)西村亮さん
 前略。太田様のホームページを興味深く読ませていただいております。ピラニアについて質問があります.ご教示いただければ幸いです。
 現在,体長20cm弱のブラックダイヤモンドピラニアを60cm水槽で単独飼育しております。
 Q1・えさは金魚を与えております.アロワナの場合ですと金魚の単用はよくないということを聞きますが,ピラニアの場合はどうでしょうか?(この金魚はピラニアに与える前に植物質のえさを数日与えます)。
 Q2・一度,ざりがにを与えたことがあります(食べました)。ざりがには餌として 適切でしょうか?
 Q3・私が水槽のそばに近づくと,濾過装置のストレーナと水槽の壁の間に 頭をつっこんで(隠れようとして)います.これはそういう性質なのでしょうか?それとも私の管理が悪いのでしょうか?人が見てないときは 水槽内をゆっくりと徘徊しているようです。水槽内を泳ぎ回り,金魚を食べる様子を観察したいのですが,なかなかそれがままならない状況です。
 Q4・近々90cmまたは120cmの水槽に引っ越しさせる予定です。ガラス水槽のセットが近所のホームセンターで安く手にはいるのですが,アクリルのほうがよいでしょうか?
 Q5・ピラニア水槽に苔取り用に石巻貝を数匹入れています。先日,ガラス面に楕円形(長径1mm程度)の小さなものが多数発生していました.これは貝の幼生でしょうか?
 よろしくお願いいたします。

A10:順番にお答えします。  先ずQ1ですが、自然界において単一の餌を取り続けることは非常に不自然なため、矢張り餌をバラエティに富ませる必要は有ります。特に金魚にはビタミン破壊酵素が含まれると言う観点からも、なるべく他の魚種(タナゴ・ドジョウなど)や蝦類(クリルではなく、生きた川蝦や剥き蝦など)に切り替え、これに半分は配合飼料を与えると、栄養のバランスも取れると思います。問題は植物質だけでは有りません(勿論、やらないよりはやった方がよいです)。
 Q2で問題とされるのは、寄生虫と汚染(廃液や重金属・農薬など)の問題です。自分で養殖してしまえば全ての問題は解決ですが、これが無理でしたら現在のザリガニの生息環境から状態を推測しましょう。そこに住む魚を捕獲し、鱗・鰓を調べて目立った寄生虫が存在しなければ、取り敢えず魚に与える分には合格でしょう。汚染に関しては水田であれば避けた方が良く、工業廃液・生活廃水が直接ドボドボ注がれているようならこれも避けるべきです。
 Q3は単独飼育では良く見られる光景です。競争が発生しませんから、恐らく当分の間この状況が続くでしょう。しかもカラシン類は特に人に馴れ難く、ナッテレリ種などは群れで居てもびびることは珍しくありません(それでもダイアモンドブラックはナッテレリのような集団性が無いので、ずっと根性が座っています。個体のサイズにも寄るでしょう。大型個体になると逆に人間にガンを飛ばしたりもします)。なるべく家族が立ち入れない部屋に設置し、ドアなど大きな音を立てる場所から遠ざけてやります。始めは水槽にくっつかない様にし、餌を与える時のみ出入りするようにします。そうすると飼育者=餌の学習が出来、すっと寄ってくるようになるでしょう。もう一つの解決法はQ4に有ります。狭い水槽では暴れる個体も、広い水槽に移すとぴたっと大人しくなることが良くあります。水槽容量に余裕が有れば、個体も落ち着くのは自然です。水槽の種類ですが、ダイアモンドブラックは大型になるため、アクリル水槽の方が"安全"です。ガラス水槽は最終的に水漏れを起こす可能性が有るため、マンション等には絶対にアクリル水槽をお勧めします。
 Q5の石巻き貝は、淡水に入れると卵を産み付けます。これは彼等が汽水棲の為、ショックを起こすためと思われます(一個体でもポコポコ産み付けますから)。このように壁面を見苦しくする上、石巻き貝は淡水では非常に短命なため(長期飼育には塩分が必要です。汽水で管理すると自分で立ち上がれないなどと言うことはなくなります)、余り苔取りには向きません。流木等を多数転がし、頑丈なプレコを入れるのが有効です。夜行性のプレコは、ピラニアが睡眠中に活動します。それでも食われる可能性は非常に高いため、慎重に様子を見る必要が有ります。プレコが可哀相でしたら、苔を抑制する薬剤を使用する(お勧めしません)か、自分で苔を落とすしかありません。産み付けられた石巻き貝の卵は決して孵化しませんから、掻き落として下さい。



Q9:(08/31/'98)武笠玲央さん
   先日、近所の某ショップでアーモンドスネークヘッドを購入しました。自分としてはなんとなく気に入り買ったのですが、このHPをみてちょっと驚きました。スネークヘッドとはそんなに危険な魚なのでしょうか。
 まだ、幼魚(1年くらい)なのでどのくらいの大きさになるか聞いたところショップの人は40センチくらいになるといっていたので60センチのガラス水槽で飼ってます(体長10センチくらいです)。
 なにか注意することがあったらぜひ教えて下さい(少し心配してます)。よろしくお願いします。

A9:危険な魚とされる種類には、二通りの場合が有ります。
 まず人間(飼育者)にも危険な魚種で、多くが噛み付く・刺されるというものです。これには肺魚やギムナルクス、淡水エイなどが当て嵌まり、無論小型の内は問題ありませんが、何れも100cmを越えることからサイズが大きくなるに従い、危険度も倍増します。中・大型のスネークヘッド(雷魚)はこちらに当て嵌まります。我国で非常に安価で販売されているレッドスネークヘッドや、ブルートーマン(全然異なる種がこれで送られてくる場合が有ります)は正にこのタイプです。そこで本Hpではスネークヘッドを要注意魚種に指定し、キーパーの皆さんに注意を促しているのです。
   さて、もう一つの場合が同居魚に危害を加える恐れあり、の魚種です。魚と言うものはナマズからカラシンまで、実は喧嘩が付き物なのですが、この場合は相手が死に至るほどの虐めを行う種に限っています。これには中・小のスネークヘッドが含まれますが、組み合わせる魚種を工夫することにより、同居魚がスネークヘッドよりも大型な場合、問題なく過ごさせることが可能です。実は大型種でもそれより大型な魚種との混泳なら不可能ではないのですが、一般家庭で置ける水槽サイズではないため、止めるべきであると申し上げている次第です。
 アーモンドスネークヘッドですが、確かに中型スネークヘッドの中では大人しい方です。アフリカンスネークヘッドなどに比べれば、友好的な種にすら見えます。しかしながらスネークヘッドには変わり無いですから、混泳には全く向きません。40cmになる種ですが、単独飼育でしたら60cm水槽で終生管理可能です。水槽のサイズ的にも混泳には向きません。何も無理に他魚を混ぜて危険な目に合わせることも無いでしょう。注意点として、スネークヘッドは水槽から非常によく飛び出すため、蓋は勿論その隙間も無くし、動かない様にすることです。濾過槽モーター室の隙間も要注意です。空気呼吸するとはいえ、一晩外に転がっていれば、間違いなく干からびて死んでしまいますから。又、空気呼吸をしますので、水面を水槽上部から充分離すことも必要です。
 スネークヘッドは基本的には病気等には罹らない魚種です。反面事故はよく起こしますが、これを回避するには、アクリル水槽にチェンジすることをお勧めします。個体によっては驚き易く(中・大型種では幼魚・成魚とも殆ど見られませんが、小型種では珍しくありません)、人影を見ただけで水槽内を暴れ回るものもおり、60cm規格水槽(特に古くなったもの)位なら罅を入れる可能性が有るためです。15cmを越えた個体が一度暴れると、脆いガラスなど一たまりも有りません。しかも割れる部分は底の場合が多く、じくじくと水漏れが続くため部屋がかびたりすることも有ります。その点アクリルは割れ難く、余程の不良品でもなければ水漏れを起こすことは有りません。蓋もガラスよりアクリルの方が良いでしょう。何しろガラスは割れると凶器になるため、人間にも危険です。
 以上、注意点ばかり述べてきましたが、スネークヘッドのように喧嘩の強い種類は人も恐れず、非常に良く慣れる可愛い魚達です。可愛がってやって下さい。



Q8:(08/18/'98)清水由香さん
 (前半略)。夏以外はタイマーで8:30AM〜8:00PMの間ライトを1本付けています。この時期は部屋のエアコンは付けていますが、水槽のライトを付けたままだと水温が上がるので涼しい日以外は消しています。その事をショップの人に話したら、通常はそれでもかまわないが、出来れば、1年中同じにするようにと言われました。特に、今の状態だと常に規則正しくするようにと。その為にライトを上に持ち上げるものを勧められました。それと水槽用扇風機を。水槽用扇風機は今週末にセールに購入したらどうか?とも。太田さんの所はどうしていますか?そこまで必要でしょうか?現段階では飼育温度より1度上がった状態です。

A8:光線不足は雑菌を増やす為、明かりは是非にも必要です。照明不足は鰓を襲う病原体が増加するようで、夜行性の魚種でも水槽全体が暗くなってしまうと、環境が悪化するためやられるケースが有ります。しかしその為に夏季の水温上昇に悩む人は多いことでしょう。エアコンをつけているのなら、水温計を見ながらなるべくライトの点灯時間を長くします。シングルライトであれば、極端に水温上昇は見られないでしょう。電球も演色系(赤色)のものは明るさの割には熱を持ち易いので、白色系(屋内照明に使用される、暖色=オレンジの入っていないもの)が効率はいいです。水温は通常の魚種であれば、28〜30℃を上限にすれば良いでしょう。酸素不足はエアーレイションで補います。ライトを持ち上げる器具は、ライトそのものの熱を遠ざけるだけでなく、水面の気化熱を奪う目的ですから有効ですが、専用扇風機は高価なこと・エアコンに負担を掛けること(この場合冷房ではなく、除湿で対処します。出ないと部屋中黴だらけになるでしょう)から財布と相談と言った所でしょう。
 ちなみに我が家はチョウザメなど冷水域の魚種が数匹いるため、部屋中を25℃を超えない様に設定しています。



Q8:(08/17/'98)Y.Shimizuさん
 先日、ブラックゴーストの件でメールを出した者です。丁寧なご回答をありがとうございました。
 我が家のブラックゴーストはもう老体なのですか?寿命は何年くらいなのでしょうか?
昨日、遠くのショップまで行き、そこの店員さんに水槽の水を半分換えてバクテリア(パワーバクター)を入れるように勧められました。亜硝酸試薬で検査しましたら、「理想的な水質」と出ました。そして、半分水換えをして、バクテリアを入れました。時間をおいてアマゾングリーン(水草水槽用魚薬)という稚魚にも使用できる やさしい薬を適量の2/3を入れました。でも、今日は寝る位置を換える程度にしか動きません。体の部分の水カビは、ほぼ、めくれ上がった感じです。その下から肌アレしたような皮膚が見えています。餌を鼻先に近づけても、イヤがって食べません。このまま、水質改善で行くしかないのでしょうか?
 外部式濾過装置とはどういう物でしょうか?我が家の濾過装置は水槽上部に設置してありますが、水槽の底に設置する物以外は全て外部式濾過装置なのですか?それと現時点ではかなり魚の体力が消耗していると思いますが、水換えなどの刺激をあたえても大丈夫でしょうか?悪い水のままでもいけないとは思うのですが。とりあえず試薬で「理想的な水質」とでています。pHは水道水のままだとpH7すが、pH6.5にするにはpH調整材などの 薬を使用したほうが良いですか?
 ピートモスはペットショップで見かけたことがないのですが、植木に使用するもので良いですか?その場合は水洗いはするのでしょうか?それと濾過はエーハイム社の物はブラックゴーストに合わないのでしょうか?セラミック系・石系とは、特に太田さんお勧めの物はありますか?水換えようの水は水道水にカルキ抜きを使用するより、汲み置き水のほうが優しい水なのですか。その場合、エアレーション以外にカルキ抜きの薬は必要です か?現在、餌を食べていないせいか、水は1週間たってもpH7のままですが、具合がよくなるまで、こまめな水換えが必要ですか?汲み置き水なら現段階の魚にも負担はないでしょうか?一時は水槽のリセットで元気を取り戻したのですが、2日前から急激に悪化しています。助かるでしょうか?よろしくお願いします。
 追伸.近所のペットショップ(ブラックゴーストを購入した店)で、昨日ブラックゴーストは金魚ですか?と言われました。ペットショップの人にとっては珍しい魚なのでしょうか?

A7:先ずブラックゴーストの寿命ですが、これは正確に掴めていません。飼育下と自然環境下では相当異なるでしょうし、飼育条件によっても左右されると思われます。しかしながら、飼育下で30cmを超える個体が現れない以上、これをマキシマムと考え、成長途中の若魚とは別に扱う方が安全です(代謝が子供と大人では違いますし、魚の大人と年寄りの区別は人間にはつきません)。
 バクテリアの投入は勿論有効ですが、そのバクテリアが有効に活用されなくてはなりません。それが濾過材と言う住処です。珊瑚砂には相当早く入居しますので、よく使用されます。但しpHを上げる為、ブラックゴーストなど弱酸性を好む魚種に使用するには、精々1〜2割と記述したのです。珊瑚砂を加える際は、60cm上部濾過槽の容量が少ない為、二摘みくらいぱらぱら撒くくらいで止めます。ちなみに東南アジア等から来る魚種には、半分ほど珊瑚砂に換えても良く、湖産・汽水産魚種には7〜8割−全量を珊瑚にします。濾過材の種類ですが、エーハイメック・エーハイサブストラット共にセラミック製です。そのまま使用して下さい。石は大粒の大礒砂などが有ります。ちなみに上部濾過装置でも、ワイド式と呼ばれる容量が数倍の方式のものも有り、濾過能力が段違いに良くなりますが、重量が非常に嵩む為、市販の規格60cmガラス水槽では水漏れを起こす可能性が有ります。フランジも粗末で、しかも余裕が有りませんから、アクリル水槽を使用して下さい。
 亜硝酸試薬で解ることは、亜硝酸塩値のみです。魚体が直接排泄するアンモニア(猛毒)と、最終生産物の硝酸塩(弱毒。無論過ぎれば大変な有害物質です)は解りません。バクテリアが全く居ない為、アンモニアが蓄積するのみで亜硝酸塩・硝酸塩が全く生産されない場合も考えられますし、アンモニア・亜硝酸塩は全て分解されたものの、硝酸塩が猛烈に溜まり魚体に悪影響を与えている場合も考えられます。アンモニアはニトロソモナスにより亜硝酸塩に変えられ、更にニトロバクターにより硝酸塩に変化します。水質検査は3点セットで考えて下さい。ちなみに前者(アンモニアのみ)であればバクテリアの投入は必須ですし、後者(硝酸塩のみ)の場合、バクテリアの投入は全く無意味です。硝酸塩は水草・苔も吸収しますが、通常は水替えにより排出する必要が有ります。何れの場合も、全く有効性の無い投入バクテリアを使用すれば、かえってバクテリアの死骸で水が悪化します。また、薬品はこれらバクテリアを殺します。投入バクテリアと薬品の併用は無意味です。  pH調整剤も販売されていますが、これには同時にpH測定試薬・器具との併用が必要です。使用する際は、説明書を熟読して下さい。特に注意する点は、薬品の場合、効果が切れると一挙に元に戻ってしまう為、かえって困った事態になり兼ねないことです。ピートモスはその点効果が徐々に現れ、又切れる際も徐々ですから魚体に負担がかかりません。使用するピートモスは熱帯魚ショップで販売されている鑑賞魚用(エーハイトーフなど)を使用します。園芸用は消毒薬を使用している可能性が有り、危険です。それとpHや化学物質のデータ測定は、先ず水替え前・直後それぞれを測り、次いで毎日(数値の降下率を知る為)次の水替え時までチェックします。水替えの頻度(必要性)はこれにより目安がつけられます。
 水替えの際、汲み置きの水は必須(特にテトラなどの小型魚・体力の落ちた病魚には)です。カルキ抜きを投入しただけの水は、水漏れ等緊急時に限るようにして下さい。驚いたことに水道水から出たばかりの水は、水圧により分子配列が整然とし過ぎている為、肌荒れやきりきり舞いを起こす個体が少なからず居ます。一昼夜エアーレイションをすれば、塩素は勿論、他の有害物質もある程度飛びますし、酸素が溶け込んで魚体には良く、軟水化もします。つまり薬品類は一切使用しなくて良いのです。温度のみ合わせて下さい。
 フィルターの種類についてですが、外部式とは、特にエーハイムなどが販売している、外部(水槽から離れ、ホースで接続される)に置く非常に高価なフィルターです。これの専用濾過材として、エーハイメックやエーハイサブストラットが用意されているのですが、これらの濾過材を他の方式に使用するのは全く構いません。ちなみにShimizuさんの濾過槽は上部式です。
 症状で肉が剥げ、中の赤身が露出している場合、相当酷い細菌症にかかっています。通常こうした場合は抗生物質(細菌・真菌感染症用。魚病薬としてあります)を直接患部に擦り込み、隔離飼育・もしくは薬槽に暫く隔離してから本水槽に戻す(落ちる薬品はトリートメントタンクで落とし、本水槽に持ち込む薬品の量を最小限にすることにより、バクテリアへの悪影響を最小限にする)処置などをを行いますが、残念ながら助かる確立は非常に低いです。餌も取らないとのことですので、或程度覚悟してかかって下さい。pHの極端な低下(pH6〜5.5を切れば)でも同様の症状(潰瘍)がでます。鱗の無い魚種(ナマズなど)ほど出易いですが、鱗のある魚よりも回復のチャンスは有ります。鱗のある魚に潰瘍は出難いですが、一度出てしまうと重篤な症状となり、まず助かりません。
 採餌は体調が回復するか否かにかかっており、その前に回復基調に乗せなくてはなりません。体調が回復するまで、体力が持つかどうかが分岐点です(餌を食って体力を回復するという段階ではないようですから。給餌で体力を回復させるには、水が整っている必要が有ります)。水槽のリセットが効を奏したのならば、そのリセット状態をキープする必要が有るのは当然です。病気の出現は水質の悪化によるものです。今の悪い水に浸けている方が、良い水に替えるより負担がかからないとは到底思えません。
 さて今回のブラックゴーストですが、当然体力は消耗しています。しかしそのままにしておけば、確実に死亡します(メールからは回復の兆しが見られず、悪化の一途を辿っているとのことなので)から、何か手を打ってやらなくてはなりません。薬品で症状の悪化を止める・回復させるのも一つの手段では有ります。乱暴な言い方ですが、水を替えて死亡する個体は、遅かれ早かれ死亡する個体です。私は数千匹(以上)の魚を扱ってきて、様々な病魚・故障魚を見てきましたが、水質の向上こそが万能薬であると考えています。薬品の与えるダメージ(薬害は人間だけではないのです)の凄さのほうが心配ですが、どうでしょうか。人の治療と同じでこれは当事者の選択に任せるより他ありません。
 最後にそのペットショップ全体がそのような無責任(売り逃げ)の塊とは思えませんが(新入りのバイトなどはこの状態が普通です)、他の店員はどうでしょうか。もしどの店員に聞いてもその程度の返答でしたら、最低です(良いショップ・店員を探すことも、アクアリストの楽しみでは有りますが。足を使って探してみて下さい)。何かしら飼育書を紐解いて、自分で勉強した方が得策です。



Q6:(08/16/'98)Y.Shimizuさん
 はじめまして。私はブラックゴーストを飼育しています。そして5年目にしてかなり体調を崩してしまいました。本やペットショップでも詳しい事は解らず、困っています。もしご存知でしたら、太田さんの力を貸して下さい。
 現在の飼育状況は、ブラックゴースト30cm強・日槽60cm水槽・底砂(パールサンド)・濾過材(エーハイメック・エーハイサブストラット)・エアーポンプ・pH7です。餌は冷凍赤虫とマグロのトロでした。そのため水質悪化により、濾過材を珊瑚砂に変えました。アルカリ性の水になってしまいましたが、魚が慣れて来るといわれ、そのままの状態で2年経ちました。そして1ヶ月前から餌を食べません。横になって寝る事も無くなりました。2週間ほど前から白い斑が出来、尾腐れ病になりました。水替え後、グリーンFを投入しましたが、2日後ひどくなるばかりでした。そのため、水槽を完全リセットしました。底砂を洗い、濾過材・フィルターを交換、エアーポンプ設置、麦飯石水溶液を投入、餌は乾燥餌のカーニバルにしました。これによって少しずつ元気になってきました。餌を食べず、横になって寝る事以外は。それが昨晩、横になって寝ていました。そして昼頃までは何とも無かった左側全体に水黴が出ました。主に左を下にして寝ています。今朝は昨晩より酷くなりました。取り敢えず、又麦飯石水溶液を入れ、様子を見ています。以前ペットショップで、鱗の無い魚は薬を使用すると肌荒れを起こす為、使用できないと言われたことが有ります。現在ブラックゴーストを購入したペットショップに、ブラックゴーストに付いて詳しい人は居ません。何か良い方法はないのでしょうか。餌だけでも食べて欲しいのですが。宜しくお願いします。

A6:色々努力されて来たようですが、残念ながら間違った管理を続けすぎたようです。ブラックゴーストの白斑は、ストレスによって生じます。その副産物として拒食や黴が出てしまっている為、強制給餌や水黴のみのワンポイント治療では無意味です。
 濾過材にエーハイム社製品を利用されていると言うことですが、外部式濾過装置(パワーフィルター)を使用されていると考えて話を進めます(違ったら再メール下さい)。外部式濾過装置は魚の飼育に全く向きません。先ず適合水槽用でも全く水流が作れないこと(水の停滞は老廃物より、雑菌を増殖させます)、酸素供給量が足りない(濾過槽のバクテリアにも絶対必要です)ことが大きな要因です。音を消し、水草を育てる為に作られた欧州製品は、全て魚を中心に管理する我国の事情にそぐわないのです。
 水替え(最低週一回)の際、ストレーナー付サイフォン等を用い、必ず底砂もガス・ヘドロ抜きを行って下さい。ブラックゴーストにも利きが有る為、同じ面に刺激(悪いガスやヘドロは、恐ろしい刺激物です)が当たり続けると、必ず病気が現れてしまいます(床擦れに細菌が感染したようなものです)。
 pH7は上限です。特にブラックゴーストの原産地はオリノコ川とその周辺ですから、pHを6.5位に設定してやりたいものです。7を超えてしまうと、ブラックゴーストにはきつすぎます。
 餌は決して与えてははいけない物をやってしまいましたね。海産魚・特にマグロの切り身などは、百害有って一利無しです。先ず油分が余りに多く、水や濾過材の表面を覆い、酸欠状態を作り出すこと、必死で濾過槽が除去に努めている油膜を、もろにそのまま作り出してしまっていることが、水槽内の環境を悪化させるのです。原油流出事故で、何故漁業関係者が躍起になるのかを考えて下さい。油が水面を覆うことは、生体にとっては致命的な場合が多いのです。栄養もこちらが期待するほど有りません。切り身にはカルシウムもミネラルも殆ど含まれていないからです。人が食べておいしいものが、魚に良いとは限りません。この他加工商品(ハム・ソーセージ類や竹輪・蒲鉾など)・煮干しやドッグフード、鯉の餌などは、決して与えないで下さい。ブラックゴーストは腹部膨張が珍しく無く、腹が膨れた時点で回復することはなく必ず死亡します。
 水質改良剤は一部(pHアップ・ダウン等)を除き、効果を期待するのは無駄です。本当にそれで全てが上手く行くのなら、全ての公共機関(水族館など)が使用している筈ですし、全ての飼育書に掲載されている筈です。水質は、先ず貴方が管理しなくてはなりません。
 現地では50cmにもなるブラックゴーストですが、水槽内では30cmが精精です。つまり、水槽内では30cmにもなれば、老体としてより気を配ってやらなくては、そのサイズからの長期飼育は不可能です。貴方の個体ももはや30cmに達してしまっているので、より彼が暮らし易い環境を設定してやります。
 ブラックゴーストの基本的な管理は、以下の通りです。参考にして下さい(単独飼育の場合)。
 60〜75cm規格水槽以上。フィルターは上部濾過槽(内部はセラミック系・石系の濾過材を詰め、最上部にマットを敷く。水替えの際、マットのみ水道水で徹底洗浄)。珊瑚砂は初期バクテリア活性用・pH急降下防止用に濾過材に混ぜますが、精々1〜2割に止めます。その上でpH6.5〜7を保つ必要が有ります(水作など投げ込み式フィルターに、ピートモス等を詰めると有効)。シェルターを入れます(流木よりも、土管の方が良いでしょう。取り出して奇麗に洗浄できます)。水草は不要です。水替えは週1回、1/3がベスト(但し、初期の不安定な状況では、間隔を詰めて水替えで強制的に水質を調整します)。よりやさしくする場合、汲み置き水にエアーレイションをかけ、一昼夜置くと良いでしょう。餌は赤虫を中心に、ドロマリンやひかりクレストキャット等が、消化も良い上水も汚れません。冷凍ブラインシュリンプ(冷凍。自分で育てても良い)も非常に良い餌です。メダカ等も食いますが、食い散らかす為メンテナンスが煩雑になります。
 ところで、ぜひ一緒に入れてやりたいのが、ロリカリアやファロウエラ、タイガープレコなどの大人しい苔取り魚で、貴方がどんなに頑張っても取りきれない残餌や、水槽の壁や砂に付着した水垢(恐ろしい病原体や虫の温床になります。あの水ミミズはここから発生します)を剥がし・食い・巻き上げて濾過槽に送ってくれます。彼等を入れるならば流木を一本入れ、ブラックゴースト(へ)の攻撃を避けさせます。彼等への給餌も忘れない様にします。
 最後に、薬品は最終手段と考えて下さい。鱗の無いブラックゴーストやナマズ類は勿論、鱗の頑丈なポリプテルスなどの古代魚にも非常に危険で、実に容易く死亡します。魚病薬は鯉科魚種等汚水にも強い魚向きですから、古代魚・特殊魚種の飼育では、「病気を出さない・予防」こそが最も重要です。



Q5:(07/28/'98業務統括課マシンさん)
 はじめまして。私は大型魚が好きで、数種を飼育しています。
 最近ノーザンパイクを入手できたのですが、あまりこの魚の文献が有りません。この魚種に関する資料について、何か手がかりが有ればと思いmailしました。自然での状態、Esox類のことについてなど、どんな情報でもお知らせ頂ければと思います。
 ちなみに現在は10cm強、メダカを与えています。水槽は90cm規格、水温26℃、pH6.8〜7.2.有茎水草を一角に植え込み、シェルターを作っています。成長度合いにより、将来的には120×60×60または180×60×60に移動予定です。いつも中層に定位し、お腹が空くとそっとメダカに忍び寄り、さっと捕食する姿がお気に入りなのです。
 以上宜しくお願いします。

A5:飼育法や予定については何も問題はないでしょう(出来れば水温は20℃くらいに下げた方がよいような・・・。分布域を見て下さい。恐らくは保温より、夏季の冷却が長期飼育の条件となるでしょう)。
 SALMONIFORMES(サケ目)Esocidae(カワカマス科)に属する魚種は、分類学的にはGalaxiidae(ギャラクシアス科)に比較されます。Esocidaeが北半球、Galaxiidaeが南半球にそれぞれ別れて分布している所も興味深いものが有ります。但し見かけは相当異なり、殆どの種が10〜20cmにしかならないGalaxiidaeに比べ、Esocidaeの方は全てが大型になります。
 Esocidaeの特徴は、見ただけで判別のつく様相を持ち、巨大になる捕食魚ということになるでしょう。頭部は鵞鳥のような反りが有り、眼球は黄色・体色は緑から褐色と渋い色彩です。背鰭は一つで脂鰭はなく、尾鰭は切れ込みが入ります。
 分布域は北米とユーラシア大陸北部で、我が国には北米種が馴染みが有り、4種1亜種が分布します。
@Esox americanus americanus (Redfin Pickerel)
 五大湖からフロリダ、ミシシッピー流域にかけて広く分布しています。americanus種の特徴は眼球から顎の根元に降りる強い黒帯で、鰭が赤く色付くタイプがamericanus亜種です。本属中では小型種で、40cmほどにしかなりません。身体の模様はMuskellungeに似ます。
AEsox americanus vermiculatus (Grass Pickerel)
 上記亜種で、鰭が赤くなりません。
BEsox lucius (Northern Pike)
 北米中部からカナダ・アラスカとユーラシア大陸北部にかけて、非常に広い範囲に分布しています。眼球から顎の根元に降りる強い黒帯が無く、身体の模様はラインに沿った黄白っぽい水玉です。我が国に良く輸入される種です。120cmを超えます。
CEsox masquinongy (Muskellunge)
 五大湖とその周辺に分布します。眼球から顎の根元に降りる強い黒帯が無く、体には横(魚の縦・横に注意。ご存知ですね)に流れる暗色帯が無数に走ります。北米種中最大で、200cm近い記録もあります。
DEsox niger (Chain Pickerel)
 東海岸沿いに分布しています。汽水域にも見られます。眼球から顎の根元に降りる強い黒帯を持ち、身体には明瞭な網目模様を持ちます。100cmほどになります。
 どの種も広く水草の密生した河川・湖に生息しています。流れは好みません。繁殖は生後1〜2年より可能で、多くは3〜5年とされます。成長速度は速く、Northernなどは7年も有れば80cmを超えるほどです。北米では彼らをゲームフィッシュ(釣り魚)として扱い、飼育は余りしていないようです。



Q4:(07/28/'98高野良子さん)
 今日は。私は山梨に住む会社員24歳です。
 大阪のトポスで「淡水フグ」を見て以来、フグを飼いたいと思っています。色々調べているうちにこちらのHpに辿り着きました。今まで魚を飼ったことは有りません。水槽から用意しなくてはならないのですが、フグには淡水・汽水・海水が有るらしく、海水は濾過システムが特殊なのですね。悩んでいます。近所の熱帯魚ショップではミドリフグしか扱っていない様で、ミドリフグも愛敬が有っていいなぁとは思うのですが、現実のものとする為にも、どうか知恵を貸して下さい。
 1.ミドリフグは海水・汽水のどちらがよいのでしょうか。汽水の場合の海水濃度は?
 2.水槽は海水用のものを用意した方が良いのでしょうか。
 3.ヒーター・クーラーは必要でしょうか。こちらは夏の夜は涼しいですが、冬は寒いです。
 4.3〜4匹くらい飼いたいのですが、喧嘩したりしないでしょうか。
 5.水草でお勧めのものは有りますか。イソギンチャクなどがよいのでしょうか。
 基本的なことが分からないのですが、何かお勧めの本などが有りましたら教えて下さい。無知ですいません。どうぞ宜しくお願いします。

 A4:順番にお答えします。
 ミドリフグは汽水〜淡水にかけて生息しており、噛み傷などに水性菌が付着するのを防止する・より緑色を輝かせる為にも、汽水飼育を強くお勧めします。その際問題になるのはモーターなどの耐塩性で、淡水用モーターを高濃度の塩水に付ければ腐食し、漏電・発火・火事へと発展する恐れが有り、例え汽水といえども淡水・海水両用の機種を選択します。濃度は半海水を目安にやや下げ気味に設定した方が、塩垂れなどのトラブルが多少押さえられます。水替えの際は必ず人工海水の素を排水した分、加えることを忘れないで下さい。
 現在では市販されている水槽は、ガラス製・アクリル製とも海水使用に耐えます。その昔はガラス水槽の枠にステンレスが使用されていて、これの腐食が問題となっていたのですが、現在のガラス水槽はプラスチックとシリコンで接着されており、腐食は起こらない様になっています。念のため購入先に海水使用が可能か念を押しておけば、心配は無用でしょう。
 ヒーターは絶対必要です(25℃を保ちます)し、クーラーも出来れば有った方が良いでしょう。
 喧嘩はします。フグの性格は闘争的ですから、喧嘩をしないフグを見つけることは容易では有りません(海水のハコフグくらいでしょう)。出来れば単独飼育で、犬・猫のようなペット感覚で一対一の付き合いが理想です。混泳させる場合は、大きな水槽(90cm規格程度)を用意し、充分な餌やりを怠らない様にします(空腹になるとフグ同士、鰭を齧り合います。負け個体は隅に追いやられ、衰弱死を迎えます)。
 水草は塩分が入る為入れられません。もっとも純淡水で管理しても、フグによってぼろぼろにされてしまうでしょうが(フグは雑食です)。イソギンチャクは究極のアクアリウム生物の一つです。充分に飼育テクニックを身につけた後、トライするようにして下さい。
 初心者の方にお勧めの書籍は、桜井淳史著「世界の熱帯魚」(山と渓谷社刊)です。殆どの方はこれをマスターするだけで、アクアリウムライフを満喫できるはずです。必ず手元に置くようにして下さい。他の飼育書は一長一短が有る為、初心者の方には私はお勧めしません。
 フグに関しては私のこのHp併設の「フグ管理法」に、より詳しく記してあります。今は必要なくとも、是非プリントアウトして手元に置いておいて下さい。何時か役に立つでしょうから。



Q3:(07/17/'98なかじょうさくらさん)
 私は、肺魚を使って研究をしている者です。Protopterus dolloiの購入先を探しています。こちらは岩手県の岩手大学なので、この近辺か配送してもらえる所が有ったら教えて下さい。

 A3:地方では特殊な種類が入手し難く、また価格も値が張ります。理由は輸入され、到着する場所が成田空港(千葉県)なため、離れた所に送る際送料がかかることです。ここから離れれば離れるほど価格は釣り上がりますし、残念ながら地方ほど特殊な魚種は売れない為、ショップは導入を見合わせます。特に肺魚は売れないと大型化し、手が付けられなくなる為敬遠されがちです。
 購入には通販を取り扱う店を探します。各種熱帯魚雑誌「アクアマガジン」・「アクアライフ」・「フィッシュマガジン」等の後半には広告が詰め込まれており、「地方発送可」としている店も幾つか有ります。この内肺魚を扱う店にコンタクトを取るとよいでしょう。プロトプテルスが掲載されていなくても、淡水エイやポリプテルス・チョウザメなどの古代魚を扱う所でしたら、肺魚は大抵扱っています。問い合わせて下さい。但しdolloi種の成魚を扱う店はまず有りません。dolloi種は養殖ものの稚魚が、確か冬の終わりから春先といった、一定期間のみ入荷します。その時機を逃すと翌年まで待たなくてはなりません。予約が必要になるでしょうが、相手側が煩雑になる為、ショップに無理を言わない様にして、可能かどうかを聞いて下さい。ショップ名をこちらが直接答えることは出来ませんが、親切な店は幾つかは有りますよ。



Q2:(06/23/'98宮島貴子さん)
 今日は。今、ミドリフグを飼っています。2週間前に購入したのですが、何分初めて魚を飼うので、色々知らないことばかりです。二日前に水を全部替えてしまいました。それがフグには耐えられなかったのでしょう。今、目が白くなり、目の下も黒ずんで、昨日から食事もしてくれません。水槽に手を当てても逃げません。きっと見えなくなっているのでしょう。殆ど泳がなく、上の方で漂っていましたが、今は下に沈んでいます。一匹で飼っており、水槽のサイズは250×150×170で、塩分は1.014と少し高くしています。お店の人が言うには、かなり危険な状態で、水を替えたり薬を入れることも出来ないようです。うまく行けば水が落ち着いて、フグに体力が有れば何とかなるとのこと。私が水を替えたばかりに辛い目に合わせてしまって、とても後悔しています。どうか今の私に出来ることを教えて下さい。

A2:非常に残念ですが、この段階では私もショップの人と同意見です。何かしてやりたい気持ちも分かりますが、ここでもう一度環境を変えることが、魚にとってもっときつい状態になることは目に見えています。もし気休めでもよいのでしたら、テトラ社のアクアセイフを滴下してやりましょう。謳い文句に魚類の表皮・鰓の保護を掲げているので、新水によるショックに、もしかしたらある程度利き目が有るかもしれません(これは薬品ではないので、ご心配なく)。それよりも次からは、絶対に守らなくてはならない約束事を述べておきます。
 定期的(週一回が基本です)に行う水替えですが、水は一度に半分以上取り替えては行けません。精々1/3、調子が良いならば1/5に止めます。そして替える水は温度を合わせること(低温水を注入すると、魚の目は白化してきりもみを起こすことがある)、水は汲み置きを使うこと(水道水に中和剤を混ぜただけの水は決して使わないこと。特に小型魚はダメージを強く受けます)を守って下さい。現在の状態を無事に切り抜けられたら、以上の3点は必ず守るようにして下さい。


Q1:(06/16/'98オロシベさん)
 私は肺魚が好きで、プロトプテルス・アンフィビウス2匹と、プロトプテルス・ドロイ1匹を飼っています。3匹は何れも幼魚ですが、何れ繁殖させたいと思っています。特にアンフィビウスは、輸入量が少ないので繁殖させたいです。肺魚の繁殖で良い方法が有れば、教えてもらえませんでしょうか。

A1:先ず肺魚の繁殖法について述べます。肺魚は繁殖期(現地の雨季)になると、雄個体が泥を深く(40cmほど)U字型に掘り、'巣'をこさえます。雌はその中に誘導されて卵を産みつけ、その後直ぐに立ち去ります。後は雄がその巣と卵を守るのです。これはアンネクテンスにおける観察結果ですが、恐らく肺魚全種(ネオケラトダスを除く)に、当て嵌まるものと思われます。アエティオピクスでは五千粒もの卵を産み、約2週間で孵化します。孵化した仔魚は、暫くの間鰓呼吸のみを行います。
 肺魚の繁殖における、ネックをあげます。先ず大型になること。小型種と言われるアンフィビウスでも50cm、ドロイは80cmを超えます。そして産卵床となる泥を、底に厚さ60cmは敷かなくてはなりません。聞いた話ですが、フロリダの繁殖池(池ですよ、池)に放任飼育し、ドロイの仔を取っていると聞きます。
 そして管理上最大の難関は、肺魚同士は攻撃し合うと言うことです。互いを求め合う繁殖期(雨季)の状況を如何に創るか、がポイントとなるでしょう(通常の管理は単独飼育とします。大人しいドロイと言えども、複数飼育では脚鰭を互いに食い合って、只の黒ウナギに化けてしまいます)。雨季ですから、乾季の次です。水を減らし気味に管理しておいてから、一挙に水位を上げるのが尤も簡単な方法でしょう。水温も水位の上昇に従って低くなるはずです。溶存酸素量も一時的に上がることでしょう。南半球の日照時間も参考になります。色々組み合わせてみて下さい。
 雌雄の区別もままなりません。2〜3匹ではどうにもならないでしょう。最低5匹は揃えなくては、繁殖のタイミングを合わせることも難しいと思われます。相当困難とは思いますが、アンフィビウスに関しては繁殖が待たれることだと思います。頑張ってみて下さい。
inserted by FC2 system