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FAQ
(Frequently Asked Questions)
特に多い質問について
(随時追加予定)
飼料総合
餌の切り替え
(生餌から配合飼料への移行)
トリートメントタンクの設置
疾患の原因
魚病薬・投薬法
淡水浴
白点病の治療
ネオン病
運動性エロモナス症B
鞭毛虫性頭部穴あき症
カラムナリス病
抗酸菌症
マクロギロダクティルス症
(ポリプティー)
スクーチカ症
リムフォキスティス症
アロワナトラブル
(大型魚共通)
金魚の転覆病
ミズミミズ
水槽の苔
魚の移動法
繁殖への近道
◆
飼料総合
[☆]フレーク状配合飼料
入手:容易。
長所:一般的な中層・上層魚向き。3cm以下の雑食性小型魚に最適。浮上性なので魚を観察し易い。ゆっくり沈降するので食い逸れがない。
短所:油膜。3cm以上の魚種は食い難い。労力の割りに腹の足しにならない。使い切るまでに時間がかかることが多く、酸化して消化器官に負担をかける(酸化防止剤が必要)。
[☆]顆粒状配合飼料
入手:容易。
長所:一般的な中層・低層魚向き。ゆっくり沈むので食いがよい。形状(自然界の餌に近い)が好まれる。底に溜まるのでプレコ類にもよい(珪藻・有機物の代用)。
短所:微細な屑が飛ぶ(蓄積→ヘドロ化)。上層魚(メダカやハチェット類)は沈んだ餌に手を出さないので無駄になる。
[☆]浮上性ペレット
入手:容易。
長所:中層〜上層魚向き。中〜大型魚(特に昆虫食)の視覚(除・動作)で餌を選ぶものの嗜好性が高い。メニューを多く揃えられる。食べ残し除去が容易。
短所:喉の狭い魚種(苔食い中層魚など)には不向き。臭覚で餌を選ぶものの嗜好性が低い。視覚(動作)で餌を選ぶものの餌付けが困難。
[☆]ボタン状配合飼料
入手:容易。
種類:沈降性ペレットタイプとフレーク固形型がある。
長所:中層〜低層魚向き。沈降性ペレットタイプは長時間崩れない。髭を持つ低層魚に最適。
短所:フレーク固形型は大抵量が多過ぎるので、底砂に入り込んでヘドロ化しやすい(更に砕いて与える必要)。沈降性ペレットタイプは魚食性魚が底砂ごと飲む恐れがある。
[☆]金魚・鯉の餌
入手:容易。
長所:中層〜上層魚向き。安価。草食性(藻食性ではない)の魚類に適する。コイ科・大型草食性カラシンなど。食べ残しの排除容易。
短所:合わない魚種が多く腹膨・眼病(飼料性白内障)の原因(古代魚・魚食魚・ナマズ類には厳禁)となる。
[☆]養鰻・養泥鰌飼料
入手:困難。
特徴:粉末状のもの(練り餌とする)・乾燥もの(ペレット・球状で浮上しないことも多い)とも嗜好性は特に高くない。観賞魚に特に与える理由はない。
[☆]卵黄
入手:容易。
作業:ゆで卵をつくり、卵黄をガーゼで漉す。
長所:ブラインシュリンプベビーを食えないほど小さな仔魚用(インフゾリアの代用)。
短所:水質悪化甚だしい。
[☆]鶏肉・獣肉(臓物含む)
入手:容易。
長所:使用する部位を選択すれば特定の栄養源を確保出来る(骨を使用しないことに注意)。
短所:繊維質が多く消化不良を起こす(ミンチ化で対応→水質悪化甚だしい)。魚に合わない脂肪が大量。ミズミミズの発生。
[☆]貝類(二枚貝・巻貝)
入手:容易〜困難。
長所:フグ(モノアラガイ・ラムズホーンを好む)や海産魚に適する。栄養的にも完全食。
短所:嗜好性がばらばら。特に二枚貝を嫌う魚種は多い。生きた貝は寄生虫の温床(一度凍結処理をすると安全)。
[☆]頭足類(蛸・烏賊)
入手:容易。
備考:鮫などの大型海棲魚種に一杯丸ごと与えるとよい(小さな個体ほど消化がよい)。刺身用は偏るので不可。淡水魚には与えない。
[☆]アミ類(乾燥・冷凍)
(別名クリル)
入手:容易。
長所:嗜好性が大変高い。
短所:骨格変形。脂肪粒。単用で栄養が偏り拒食となる。
[☆]ツボワムシ類
Brachionus
spp.
入手:容易(ショップで扱われている場合)〜困難(自家採集での選別・同定)。
長所:ブラインシュリンプには手が出せないような、海水棲魚類の浮遊生活を送るような微細な仔魚が食える。
作業:ツボワムシ類を入手出来れば、植物性プランクトン(クロレラなど)を餌に増殖させる。シオミズツボワムシ
Brachionus plicatilis
であれば汽水環境でも可。
[☆]インフゾリア
入手:困難〜容易。
作業:藁を煮てその藁・抽出液を広口瓶に。自然に繁殖するので餌にはフレークフードを用いる。インフゾリアの素も販売されている。限られた容器内では増減が頻繁なので、幾つかの瓶を用意して「収穫出来ない」状態を回避する。
[☆]ブラインシュリンプ(含む冷凍)
入手:容易。
作業:広口瓶に海水(と同比重の塩水)を満たし、市販の乾燥卵を適量混ぜてエアーレーションを加える。水温25℃。24時間ほどで孵化する。走光性があるので光(懐中電灯など)で水面に集め、スポイトなどで纏めて吸い上げる。更に育てるにはイースト・フレークフードなどを給餌する。
長所:仔魚の初期試料・口の小さな小型魚向き。嗜好性・栄養価とも高い。
短所:わかせる手間が煩雑(塩水の扱い)。
[☆]ミジンコ(含む乾燥・冷凍)
入手:容易〜困難。
作業:発生させるには日当たりのよい場所に水を張り、肥料分(鶏糞など)を混ぜて放置しておくと数日〜1週間で発生する(適温は25℃)。そのまま維持するかミジンコを自宅の容器に収容・イーストやフレークフードなどで餌であるインフゾリア・植物プランクトン(要光線)を同時にわかせながら給餌に使用する。田んぼで採集するのもよい(目の細かな網を使用)。ふわふわでわらわら固まっている(赤→カイミジンコなど・白→ミジンコ)。乾燥ミジンコは大粒なので顆粒状配合飼料と同等の扱い(嗜好性は生きているものよりもかなり落ちる)。
[☆]飼料用線虫(イールワーム・マイクロワーム)
Panagrellus redivivus
(=
Anguillula silusiae
)
入手:容易〜困難。
作業:コーンフレーク・オートミールを培養地とする(湿らせる)。プラスチック容器(半透明の弁当箱が良)に空気穴を開る。要日光、但し適温は25℃前後なので煮えないよう。
長所:メダカ・ラスボラ類・微細ハゼ等小型魚、大きなサイズの仔魚初期飼料、稚魚用飼料。ブラインシュリンプは淡水で直ちに死亡するが、線虫は生存が長いので水を悪化させない。ゆっくり沈み底に溜まるので低層で蠢く稚魚にも有効。
備考:寄生虫としても有名な線虫の1種である
Anguillula silusiae
は0.4cmになる。果実に巣食い腐敗させる(生体寄生性は無い)。分布は世界的とされるが、我が国の果実線虫が本種かどうかは不明。
[☆]イトミミズ(糸ミミズ・イトメ・アカコ)
入手:容易。
長所:消化がよい。嗜好性が高い。
短所:生活廃水の流入する場所に生息する為、燐・重金属・環境ホルモンなど問題が多く、イトミミズの腹の中にもこれらが詰まっているので危険。粘液胞子虫の温床。
備考:初期飼料として擂り潰したものが用いられるが、上記理由によりリスクが高い為、現在はミミズに移行。
[☆]ミミズ
入手:困難。
長所:フトミミズなどは嗜好性が高い(シマミミズは低い→有毒物質ライセニンlyseninの影響か)。完全食。
短所:水が汚れる。農薬。養殖困難。
備考:擂り潰したもの(仔魚・幼魚用)、ぶつ切り(成魚用)共に栄養価高く最高の飼料。
[☆]赤虫(含む冷凍。赤ぼうふら)
入手:容易。
長所:嗜好性が高い。脱皮しても血を吸わない。
短所:消化がよくない。生きたものは保存がきかない(2〜3日で黒化する)。保存には濡れた新聞紙で包んで冷蔵庫(平たくして固まりにしない)に置くが、1〜2日で使い切る・冷凍するなどの処置が必要。コリドラス・モルミルス(エレファントノーズ系)などは消化出来ない(冷凍ものは殻が砕けているので消化できる場合がある)。アロワナ稚魚などには浮かせて与えるが、冷凍もののほうが浮かせやすい。餌の切り替えに混ぜると効果的。
[☆]ぼうふら
入手:普通〜困難
長所:赤虫より消化がよい。嗜好性が高い(除く鬼ぼうふら)。
短所:羽化してしまうと大変厄介。
[☆]川虫系
入手:困難。
備考:種類によってはよい餌となる。
[☆]メダカ
入手:容易。
長所:あらゆる魚食魚に向く。水面に浮いているので捕食しやすい。繁殖容易。
短所:体が硬い。やや嗜好性が低い。各ステージの確保は不安定。
[☆]グッピー
入手:容易。
長所:あらゆる魚食魚に向くが、小型魚食魚には必須。水面に浮かんでいるので捕食しやすい。嗜好性が高い。繁殖容易。各ステージの確保が容易。海水でも長時間生存可能。
短所:病気を持ち込む(自家繁殖で対抗)。
[☆]金魚
入手:容易。
長所:中型〜大型魚食魚向き。質量がある。嗜好性が高い(色彩が食欲をそそる)。
短所:ビタミンB
1
破壊酵素(サイアミナーゼ)含有。鱗が大きい。物陰に隠れる。反撃する。
[☆]川魚(ドジョウ・タナゴ・コイなど)
入手:普通。
長所:大型魚食魚向き。ビタミンが豊富(ドジョウ)。底棲大型魚が捕食しやすい(ドジョウ)。
短所:鱗が大きい(コイ)。反撃する(コイ)。物陰に隠れる(ドジョウ)。
[☆]冷凍公魚
入手:普通。
長所:大型魚食魚向き。
短所:ビタミンB
1
破壊酵素(サイアミナーゼ)含有。脂肪分が多い。
[☆]アジ(生・冷凍)
入手:容易。
長所:海棲大型魚食魚向き。
短所:水が傷みやすい。脂肪が多い。高価。
[☆]ミールワーム(ゴミムシダマシ幼虫)
入手:容易〜普通。
作業:穀類(原料・製品)で維持・増殖可能。蛹を鰹節代わりに食うのでこまめに分ける。湿気に滅法弱い。
長所:魚食魚の魚の代用になる。
短所:食い飽きを起こしやすい。栄養状態に偏りが出る。
備考:ジャイアントも基本的に同じもの(種類は異なる)。
[☆]コオロギ
入手:容易〜普通。
作業:大き目の虫篭・木箱に新聞紙を相当量千切って丸めておく。餌には蛹粉を含んだコイの餌を使用(水でふやかす)。
長所:嗜好性が高い。養殖容易(各ステージの確保も割と容易)。魚食魚の魚の代用になる。
短所:栄養が偏るので単用不可(要栄養剤添加)。うるさい。臭い。
[☆]ショウジョウバエ
入手:困難。
作業:ショウジョウバエを入手する。フルーツ(バナナの皮など)を容器に入れておくと繁殖する。蛆も使える。成虫は羽を取り去るとよい。
長所:小型カラシン(ハチェット類・ペンシル類)に最適。嗜好性は高い。
短所:管理・給餌が煩雑。
[☆]蛆(サシ・ハエやアブの幼虫)
入手:普通〜困難。
長所:成虫はテッポウウオの狩猟にも使用できる。
短所:蛆は消化出来ない魚種が多い。管理が煩雑。
[☆]芋虫系(黄金虫系、蚕や蓑虫・ハニーワーム等蝶蛾類幼虫、他)
入手:困難〜容易。
長所:一般的に栄養価が高いといわれる。ハチノスツヅリガ
Galleria mellonella
の幼虫ハニーワームは養殖容易。釣具店でも入手可。
短所:消化・嗜好性はそれぞれ(魚類は余り好まない)。有毒(毛・飾りがあるものなど)は決して与えない。放置すると変態する(蛾は困る)。
備考:これらの餌は通常両生類・爬虫類に使用。シルクワームとは蚕の事。
[☆]甲虫系
入手:困難。
長所:昆虫食魚向き(嗜好性高い)。
短所:消化が悪い。魚食魚は餌付かない。
[☆]毒虫系(クモ・ムカデ・ゴキブリ等。冷凍有り)
入手:容易〜普通(冷凍有り。成体は少々難)。
短所:成体は人間を攻撃する。
備考:アロワナ類はよく毒虫を捕らえる(問題は生じないが必須ではない。金魚よりはよい)。ゴキブリはよい餌であるが、捕獲ものは殺虫剤に注意。出来れば自家繁殖がよい。草鞋・団子等は嗜好性が非常に低い。ヤスデを与えてはならない。
[☆]大型甲殻類
(ザリガニ・川がに・ブラックタイガー等)
入手:容易。
作業:冷凍剥きエビ等は塩抜きをする。
長所:昆虫食魚・魚食魚双方に嗜好性が高い。生きていれば勿論水を汚さない。
短所:消化が悪い(殻や鋏など)。寄生虫の持込。農薬汚染。反撃(死に餌か鋏脚等はもぐ)。栄養が偏る(単用禁止)。
[☆]両生類(ウキガエル・ツメガエル等。冷凍あり)・爬虫類(アノール・ヤモリ等。冷凍あり)
入手:容易〜難。
備考:魚類の飼育現場では余り重要ではない。
[☆]鳥類(ヒヨコ・ウズラ。冷凍有り)
入手:容易。
備考:骨は問題無い(内臓を傷付ける骨は火を通したもの)。魚類に与える必然性は無い。
[☆]マウス(ピンク)・ラット・ラビット(全て冷凍有り)
入手:容易〜普通。
長所・短所共獣肉の項参照。雑食性大型魚の栄養補給。
短所:短所共獣肉の項参照。家族の同意を得難い。水が傷む。臭気が強い(冷凍)。
[☆]珪藻・水草・海藻
入手:容易〜困難。
作業:珪藻の発生には透明のバケツ・バットに水を張り、岩・流木などのアクセサリーを投入して強光線下に置く。褐色の苔が珪藻。緑・黒のものは種類が異なり餌にならない。水草は自家繁殖・もしくは野外から採集(農薬に注意)。海藻の発生には種岩が必要(水槽環境にあった海藻の発生を待つ)。
長所:珪藻は苔食い(吸い付き型)魚種に必須。
長所:イチイヅタなど
Caulerpa
属の一部は有毒→
水槽植物リスト
。
[☆]野菜・果実
入手:容易〜普通。
長所:草食魚の代用食。
短所:キュウリはすりおろすとビタミンC破壊酵素アスコルビナーゼが出るのでプレコには与えない。
◆
餌の切り替え(生餌から配合飼料への移行)
手順
【1】切り替えたい餌(ペレットなど)を少量与える。
【2】2〜3分して今まで食っている餌を与える(生餌など)。
【3】食わなかった餌を取り出す(10分後くらい)。
注意
【1】給餌時間を決める(時報を守るくらいの気持ちで)。絶対に欠かさない。
【2】担当者を決める(通常キーパー)。いい加減な者は担当から外す。
【3】冷凍赤虫に餌付いている個体は混ぜて与えてもよい(アロワナ・ダトニオイデス各稚魚の場合など)。
【4】期間は1週間から半年まで魚種・個体差がある。
焦る必要は無い
。
【5】切り替えたい餌(ペレット)も数種(メーカー別でもよい)用意する。クリルをメニューに加えないこと。
【6】
絶食(食わない餌の単用)厳禁
。
【7】独自解釈をせず、上記手順を忠実に守ること。
【8】配合飼料への切り替えの出来ないもの:クロコダイルフィッシュ、リーフフィッシュ、バンデッドカンディル、ヨウジウオ類、円口類。
【9】配合飼料には餌付くものの単用がよろしくないもの:軟骨魚類、軟質区魚類、ウツボ類、カサゴ類、
Dimidiochromis compressiceps
(配合飼料は避けるべき)。
◆
トリートメントタンクの設置
目的・用途
【1】新規導入魚の検疫
【2】病魚の隔離・治療
設置
【1】容器サイズは同等・もしくは一回り小さめでよい。
【2】塩・薬剤の投入が予測されるので、物理濾過材のみを用いる(繰り返し使用可)。スポンジフィルターが最適(分泌された粘液等も絡め取れる)。
【3】水換えは毎日行う。
【4】検疫は5日〜1週間、治療は再発しなくなるまで。
◆
疾患の原因
【1】伝染性の低いものは水槽内の常在菌が魚に対し、魚体にかかるストレス(水質悪化・過密飼育など)で免疫能が低下することにより暴れだす(日和見感染)。重要なのはピンポイントの治療(寄生生物殺滅)が意味が無いということ。例えば鞭毛虫性頭部穴あき症はビタミン不足というストレスより引き起こされるが、鞭毛虫が襲ってきて魚体をビタミン不足にさせるわけではない。従ってビタミン不足により引き起こされるあらゆる疾患が、鞭毛虫性頭部穴あき症に罹った個体には存在する可能性があるということ(鞭毛虫だけ駆除すればよいということではない)。
例:運動性エロモナス症A・B、カラムナリス病、他。
【2】伝染性の高いものの多くは持込み型(外部からの保菌魚導入)。ピンポイントの治療が非常に有効。
例:白点病、ネオン病、エピスティリス症、各種甲殻類性疾患、他。
◆
魚病薬・投薬法
→
魚病薬の詳細
【1】健常魚がいる場合→病魚のみを隔離して治療。病魚が殆ど→濾過材を移動した上で直接投薬。
重要:メイン水槽に直接投薬(塩も含む)する場合、濾過槽内の濾過材は水道水で徹底的に洗浄する。バクテリアや微生物等付着したまま投薬すれば、薬殺された死骸が飼育水を一挙に悪化させる。砂利やアクセサリ等も撤去しておく。
【2】塩水浴:長期的0.5〜1.0%、短期的(10分)1.0〜1.5%。
【3】薬剤耐性の無い魚種:古代魚・無鱗魚(ナマズなど)・小型魚ワイルド。規定量の1/2〜1/3で様子を見る。
但し、上記魚種にホルマリン・オキソリン酸系・トリクロルホンtrichlorfon系・マラカイトグリーンmalachite-green(※薬事法の規制が出たので当ウェブサイトでは全ての魚種に使用不可とする。以降の回答もこれを反映.2005)・硫酸銅は使用不可。
最重要!
:病魚には消化よく栄養価の高い餌を与える。食わないならば仕方ない(興味を示さなければ直ちに取り出す)が、食わせない(絶食)は絶対に不可。薬剤投与等により濾過バクテリアの水質維持を期待出来ない場合、飼育者の手による力ずくの水管理を行う。場合によっては日に数回の水換えも必要。
◆
淡水浴
目的
:海水魚(成魚)の外部寄生虫除去(幼魚不可。成魚も体力の残っているもののみ)。大抵の寄生虫に有効だが単生類には無効。
【1】バケツ・水槽等に水温・水質調整後(特にpH)の真水を張り、病魚をすぽんと入れる。必ずエアーレーションを加える。
【2】10〜15分後に終了、海水化を開始。
【3】段差をつけて上位に海水を用意、エアーチューブ(両端に吸盤を付けて固定すると安全)などを用いて点滴注入。
【4】計算して8〜9割海水化すれば本水槽(全海水)に戻してもよい。
◆
白点病の治療
対象
:全魚種。
原因
:
原虫
Ichtyophthirius multifiliis
(淡水)。同
Cryptocaryon irritans
(海水)。
症状
:初期:鰭が不透明になる・擦り付け行動。中期:鰭・体表に白点出現。末期:組織崩壊・筋肉露出。
【1】高水温(28℃以上)。塩水浴(0.5〜1%)。早急な病魚隔離。
【2】推奨される薬剤:メチレンブルー系各種魚病薬。推奨されない薬剤(効果はあるが毒性高):マラカイトグリーン、ホルマリン、塩酸キニーネ。
【3】鷹の爪投入(60cm水槽に数本。粘膜刺激性があるので矢鱈と入れない)。にんにくエキス(欠片も効果有)。
【4】白点虫のライフサイクルに合わせ、治療期間は2〜3週間をみる。曝気不可。
◆
ネオン病
別名
:Cardinal Disease・Neon Disease。
対象
:小型テトラ、小型ラスボラなど弱酸性水質を好む小型魚。
原因
:
原虫
Pleistophora hyphessobryconis
。
症状
:半身・若しくは全身の色抜けを起こす(ネオン消灯)。肌が白っぽくがさがさになる。筋肉変性によりしばしば脊柱が変形し、屈曲やロートル化を見せる。
【1】生活史は白点病原虫とほぼ同様だが、不可逆性の病変を形成する。
【2】治療は出来ないので予防に努める(速やかな病魚の隔離)。
【3】対白点病用魚病薬・塩水・唐辛子は発症する前の段階であれば有効な可能性がある。
【4】自然発生は有り得ない。水質が悪化した・水温の急変があったなどという理由からの発生は例を見ない。殆どの場合が新規導入直後。従ってトリートメントタンクの活用で流行をほぼ100%防げる。
◆
運動性エロモナス症B
対象魚
:全魚種。
原因生物
:
細菌
(ウィブリオ科)
Aeromonas hydrophylia
+シュードモナス・フルオレスケンス
Pseudomonas fluorescens
。
症状
:体表・鰭の基部・消化管に出血性赤班。腹部膨張(内臓液状化)。時に運動性エロモナス症Aの症状・眼球突出を併発。別名紅斑性皮膚炎・出血性敗血症・赤班病など。
引き金
:条件性病原体(魚体がストレスを感じた際に発症)であるため、水槽環境(特に水質・底床汚染)に由来。
対処法
:エルバージュ(光分解性があるので消灯時に投与)・パラザンなどの経口投与。同魚病薬による薬浴などを処方するが、基本的には水槽内環境の改善に尽きる(本疾患の病原体は水槽内に常在)。栄養価の高い餌を与え体力・抵抗力を養う。
備考
:運動性エロモナス症A=別名を鱗立病・松毬病・ピンポンパールのガマガエル病など。非定型エロモナス症=別名を穴あき病・せっそう病など
◆
鞭毛虫性頭部穴あき症
対象魚
:ディスカス・エンゼルフィッシュ・オスカーなど。特に東南アジアブリード個体。
原因生物
:
鞭毛虫
Hexamita symphysodonis
。
症状
:頭部の継ぎ目・側線に潰瘍出現(初期)。潰瘍増殖・連続化(中期)。頭部・体側の崩壊(末期)。
引き金
:ビタミン不足/偏食・金魚(サイアミナーゼ含有)単用など。pH7.0〜の不適水質。
対処法
:ビタミンを考えた配合飼料への切り替え。金魚・わかさぎ(共にビタミンB
1
分解酵素含有)の給餌中止。pH6.5維持。薬剤(エルバージュなど)は食欲があるなら餌に混ぜるなどして経口的に与える(鞭毛虫は消化管に巣食う)。薬浴は無効。
◆
カラムナリス病
別名
:Cotton Mouth・Columnaris disease・False Neon Disease・Fin Rot・Saddlepatch Disease・Tail Rot・鰓病・鰓腐れ病・尾腐れ病・細菌性鰓病・鰭腐れ病。
対象魚
:全魚種。
原因生物
:
細菌
(フラウォバクテリウム科)
Flavobacterium columnare
。
症状
:鰓病症状(必須)。粘液過剰分泌(水が臭う)。鰭・鰓など水流の起こる部位に病変(黄・灰の付着物や組織崩壊)。小型魚では部分的(頭部・半身)な白色化が顕著。
引き金
:強度のストレス(汚染・外傷・過密飼育・溶存酸素量不足など)。
対処法
:塩水浴(0.5〜1%)。メチレンブルー他各種魚病薬による薬浴。水温治療無効(生存可能な水温は−4〜35℃)。
◆
抗酸菌症
別名
:Fish TB・Fish Mycobacteriosis・Piscine Tuberculosis・Wasting Disease・マイコバクテリウム(ミコバクテリウム)症・水族館病
対象魚
:全魚種。
原因生物
:
細菌
(ミコバクテリウム科)
Mycobacterium chelonei
・
Mycobacterium forituitum
・
Mycobacterium marinum
。
症状
:初期段階では不活発化・拒食・衰弱。淡色化。中期では開放型潰瘍出現(しばしば外部寄生性水カビ病併発)。潰瘍は大穴となることがある。末期で拒食・衰弱(ふらつく)・潰瘍。眼球突出・鰾白化・崩壊。脊柱屈曲。痩身。肝臓・腎臓・脾臓・心臓に白色結節形成(確認は死亡後の解剖を要する)。
引き金
:劣悪な飼育環境(汚染・異常水温・過密飼育)により症状発生・悪化。進入経路は微細な外傷で多くの個体はキャリア(前出環境下で発症)。
対処法
:完全な治療・細菌根絶は不可能なので環境を改善し、魚にストレスを与えないように療養させる。尚、本疾患は人に対し皮膚結節を引き起こす可能性があるので、作業(日頃のメンテナンス含む)の際はゴム手袋をはめて行い、終了次第手や器具(手袋等)を殺菌(薬用石鹸など使用)。
備考
:ノカルディア症は
Nocardia asterioides
によるもの。症状は頭部に肉芽腫発生。性質はMycobacterium属とほぼ同じ。人に対しても全身性ノカルディア症を引き起こすので注意。
◆
マクロギロダクティルス症(ポリプティー)
対象魚
:多鰭魚目(ポリプテルス・エルペトイクティス)・ナマズ目クラリアス。
原因
:
単生類
Macrogyrodactylus polypteri
・
Macrogyrodactylus clarii
。
対処法
:薬害に弱いので規定より緩めに対処する。【2】以外は組み合わせない。
【1】各種魚病薬投入(規定量の1/2〜1/3)。
【2】強力な曝気。
【3】塩水浴(0.3〜0.5%)。
【4】過マンガン酸カリウム浴(1.25ppm→0.00625ml/Lに30分から1時間厳守)。
注意
【1】マクロギロダクティルスは単生類の仲間で、虫体自体大型で可視であるのが特徴。
【2】本来はロープフィッシュの疾患(致死率高)。ポリプテルス(致死率低)は近縁な為に感染する。
予防
【1】完全消滅が困難で免疫も一切付かない。従ってストレスを溜めると再発するので、水質悪化・混泳ミスは未然に防止する。特にポリプテルスとロープフィッシュの混泳は厳禁。
◆
スクーチカ症
対象魚
:海水魚全般(特にヤッコ・ニザ・スズメ類)。
原因
:
繊毛虫
Uronema marinum
。
症状
:鰓病症状(鰓蓋開閉異常・激しい呼吸)。擦り付け行動。眼球白化。鼻上げや水面定位。不活性化(隠匿行動)。粘液過剰分泌。重篤になると全身に潰瘍出現・末期は脳にまで進行する。
対処法
:感染初期の個体には30分ほどの淡水浴を連日(末期の個体は不可)。マラカイトグリーン系魚病薬。
注意
:水の汚染(特に硝酸塩濃度上昇)が拍車をかけるので、常に水質を貧栄養に保つ。
◆
リムフォキスティス症
対象魚
:汽水魚・海水魚。
原因
:
イリドウイルス科Iridoviridae
Lymphocystis Disease Virus 1(LCDV-1)・2(LCDV-1)。
症状
:
鰭を中心
に白色班〜カリフラワー様もこもこ(汽水魚)、
頭部(口)〜全身
に着色された肉瘤(海水魚)。
対処法
:汽水魚の淡水・低濃度塩水飼育環境で発生した場合は、塩分濃度を海水に傾ける(半海水〜全海水)。マラカイトグリーン・パラザンも有効(治癒痕の二次感染防止)。海水魚の場合は原則治療不可能で要隔離(取り敢えずマラカイトグリーンを溶解)。肉瘤の外科的除去は効果的な治療にはならない(口が肉瘤により変形・餌が取れないなど緊急を要するケースなどに適用)。何れの型も抉り取るので無い限りウイルスで充満した細胞を開放することになり危険。勿論抉れば死に直結するので行うべきではない。更に二次感染も避けられない(ストレスも倍増)。従ってストレスのかからない環境での療養が最適。
注意
:ウイルスは微細な傷(擦過傷等)より侵入して細胞を膨張させる(発生部位は傷を創り易い部分)。低塩分濃度環境型の場合は浸透圧差・袋詰めの個体間接触・網などによる鰭膜部損傷。海水環境型の場合は喧嘩・突進等による怪我。こうした傷を創らせないよう日頃注意する。魚体にストレス(水質・水温等)がかかった状態で活発化するので日頃の管理を充実させる。ウイルスの消滅確認は完治後2ヶ月を目安。
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アロワナトラブル(大型魚共通)
[A]鰓捲れ(エラめくれ)
原因
:容量(幅・奥行き)の無い水槽では、アロワナを始めとする大型魚は特有の行動(頭振・水の逆噴射)をとり、これが鰓めくれを引き起こす。
対処法
:化学的な治療法はない。
【1】水槽を広くする(サイズは全長の幅×3以上・奥行×1.5以上目安)。
【2】極初期の場合であれば剃刀で捲れた部分を切除することも可能。
予防
:対処法に同じ。
注意
:水質は無関係。但しそれだけ狭い水槽では、水質が悪化しやすいことも事実。
[B]眼垂れ(目だれ)
原因
:狭い水槽では運動パターンが限られ、決まった方(右または左)が常に内側・外側(水槽壁面)を向き、内側のものが落ちやすくなる(眼垂れ片側)。小魚を餌として与えると、常に眼球が下を向いて餌を探す為眼垂れを起こす(眼垂れ両側)。水槽が狭い場合にも、行動毎に水槽壁面に眼球を擦り付けられてソケットが緩くなる。
対処法
:治療不可能(現状維持・予防のみ)。
【1】十分な広さの水槽(サイズは全長の幅×3以上・奥行×1.5以上目安)。
【2】餌に浮上性のペレット・昆虫を与える。小魚は元々アロワナの餌には不向き。
【3】給餌は上から(蓋に餌穴を開けるなど)。
予防
:対処法に同じ。
注意
【1】ほぼ全ての場合に於いて後天的な発症(先天性畸形の可能性は低い)。
【2】水質は無関係。
【3】同居魚も影響を与えない(この場合は突進・跳び出しが普通)。
【4】眼垂れは進行さえ停止させれば成長と共に目立たなくなるものの、完全に治ることはない(台湾などでは指で押し戻す“治療”が行われているとも言われるが詳細不詳)。更に現状が酷い場合(完全に飛び出してしまっているなど)は、成長と共に目立つ可能性が高い。
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ミズミミズ
定義
:水槽内に無数に発生する透明〜白色の微細生物。魚に直接的な被害を与えない。狭義のミズミミズ(環形動物)・扁形動物類の総称([おさかなマガジンの定義])。
原因
:水質汚濁。濾過槽・底砂のヘドロ。水槽壁面・アクセサリの苔・水垢が温床。急性の場合は多くが肉由来(食い散らかされた鱗の放置・体液放出・ディスカスハンバーグ屑の残留など)。
対処法
:原因の排除。水槽内を常に清潔にする。貧栄養。底砂撤去。餌の切り替え。水槽丸洗い。高濃度塩水にさらす。
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金魚の転覆病
対象魚
:丸系金魚(琉金・出目金・獅子頭・蘭鋳など)。
種類
:非病原性(消化管)・
細菌性
(消化管・鰾)・
ウイルス性
(鰾)。糞詰まり・鱗立症状を伴う場合も多い。
対処法
:消化管性のものは以下の方式を試す。鰾性のものは治療不可。
【1】水温を上げる(消化管の運動を刺激)。
【2】ひまし油をスポイトで経口投与。
【3】餌抜き(1週間を目安)。
【4】抗菌薬投与(運動性エロモナス症治療・外気接触による二次感染防止)
【5】摺りおろしたえんどう豆の経口投与(効果不明)。
予防
:水温差(特に秋口)は保温器を入れて水温を下げない(消化管の運動を妨げない)。餌量を減らす。乾物飼料は水でふやかしてから与える。海水魚用(特にヤッコ専用)の配合飼料を与える。
注意
【1】転覆症状が魚を直接殺すわけではない。体勢維持に消費されるエネルギーが馬鹿にならないこと・体の一部が水面に突出すると細菌感染・壊死を起こすことなどが死亡原因。安楽死も視野に入れる。
【2】鰾性の場合は鰾膜が肥厚・ガスが溜まる症状なので、どうしても殺したくない場合は定期的に穿刺を行う。感染症に注意。薬剤での治療は出来ない。
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水槽の苔
苔の発生
:分類学的には藻類algaeと呼ばれ、植物の中では最も下等なもの。陸上の蘚苔類mossとは全く異なる。水槽飼育水中の塩類(ナトリウムの方ではない)と光で発生。逆に言えば水槽内では必然的に発生するもの。
対策
:飼育水の貧栄養化(頻繁な水替え・餌を変える)。日光遮断。照明を弱くする(90cm規格水槽では60cm水槽用20W1本・60cm規格水槽では45cm水槽用ライト。蛍光管はPG-III・昼白色・昼光色・白色のものではなく、PG-IIを)。藻食性生物の導入。苔はスポンジ・三角定規で除去するが、苔は全て水槽外に出す(撒き散らさない)。苔の酷い基質(アクセサリ等)はバケツにとって塩素剤(漂白剤)・高濃度塩水(腐食されないものに限る)・酢(酸で痛まないものに限る)などで処理。苔抑制剤の使用(非推奨)。
褐色の苔
:珪藻類。最初に登場。水槽壁面・アクセサリなど広範に薄く付く。固着力は弱く指で擦っても落ちる。スポンジ・三角定規。全ての藻食生物。
緑色斑点状
:緑藻類。珪藻の次に登場。水槽壁面に硬く固着。固着力は強い。三角定規。強い牙を持つ貝類。
緑色糸状
:緑藻類。ミドロ系。水槽壁面・アクセサリ等にゆらゆら。スポンジ(絡めて取る)。全ての藻食生物。
緑色刷毛状
:緑藻類。礫・砂利・流木など。固着力は強い。三角定規。蝦類・貝類。まとめて観賞用に活用するのも一考。
グリーンウォーター
:緑藻類。水槽内が緑色。直射日光が引き金。大量の水替えと日光の遮断。
灰黒刷毛状苔
:紅藻類。全ての固体に強力に固着。流木が持ち込む。三角定規・金ブラシ(流木等)。塩素剤・塩・酢(アクセサリに付いたものを除去)。アップルスネール(嫌々)。
べったりした苔
:藍藻類。濃緑〜赤紫、分厚く臭気。全て多い尽くす。固着力は非常に弱く、簡単に剥がれる(自重で壁から落ちることもある)。三角定規・網。アクセサリは流しで歯ブラシ。超富栄養状態・古い水。水替えと濾過槽内部・底砂の徹底洗浄。
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繁殖への近道
[1]一回り大きな容器を用意する:特に奥行きを広く取ることが重要。容器の側面を不透明化・何かしらで覆うのも効果あり。
[2]魚種毎の性質を確認する:水質は勿論のこと時期や生息場所・産卵形態等。親魚の保護の有無も必ず確認。
[3]雌雄を同数確保する:ハーレム型やペア組みを行うものははみ出した個体を直ちに除く。
[4]混泳論外(甲殻類も不可)。